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M&Aスキームの基礎知識~それぞれの種類・特徴など~

一口にM&Aといっても、具体的なM&Aスキーム(手法)や手続きの進め方には、実に様々な種類があります。
そして、それぞれのM&Aスキームによって、その特徴やメリットは全く別物となります。

そこで本記事では、特にM&Aを検討する初期段階でお役立ていただけるように、各M&Aスキームの概要について紹介いたします。
M&Aをご検討中の経営者の方はぜひ参考にしてください。

ケースによって変わるM&Aのスキーム

M&Aとは、Mergers and Acquisitions(Mergers=合併、Acquisitions=買収)を略した言葉で、複数ある企業の統合や経営権、一部の事業の売買など企業の経営戦略を総称して呼びます。
具体的なM&Aスキーム(手法)としては、以下の9種類があります。

  • 事業譲渡
  • 株式譲渡
  • 第三者割当増資(新株引受)
  • 株式交換
  • 株式移転
  • 吸収合併
  • 新設合併
  • 吸収分割
  • 新設分割

先述の通りMergersの直訳は合併、Acquisitionsは買収を意味しますが、M&Aの実態に基づいて各スキームを分類する場合、その形態は以下の2つに大別されます。

  • 会社のすべてを譲渡する手法=会社の経営権を買い手に引き渡す
  • 会社の一部だけを譲渡する手法=一部の事業・資産を買い手に引き渡す

各スキームの系統・概要は次章以降で説明します。

なお、資本提携や業務提携、資本業務提携など、複数の企業がお互いの利益のために協力することを「アライアンス」と呼び、しばしばM&Aと混同されますが経営権は移動せず、また事業を引き渡すことにも該当しないため、上記のどちらの分類にも含まれません。

会社のすべてを譲渡する方法

会社のすべてを譲渡することになるM&Aスキーム(手法)は、以下のとおりです。

  • 株式譲渡
  • 第三者割当増資(新株引受)
  • 吸収合併
  • 新設合併
  • 株式交換
  • 株式移転

下記で、それぞれのM&Aスキームの概要を徹底解説いたします。

株式譲渡

会社の経営権を確定させるには、最低でも過半数の株式が必要です。
一般に非上場の中小企業では、経営者個人が全株式を所有しているケースが多く見られますが、M&Aスキーム「株式譲渡」は言葉そのままに、株式売買によって経営権を移転します。
つまり、株主(オーナー経営者)が所持する株式を売却することで、その買い手に経営権を譲渡するものです。

結果として、会社は丸ごと買い手に引き渡されますが、対外的には株主(経営者)が交代しただけで、会社組織や従業員には何の変更もありません。
つまり、M&Aの実施に何の影響も受けることなく、会社・事業の運営は従来どおりに継続できる点が、株式譲渡の特徴です。

また、株式の売買だけで契約が完了するので、他のM&Aスキームと比較して手続きが簡易に実施できます。

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第三者割当増資(新株引受)

新株引受ともいわれる第三者割当増資は、特定の第三者に向けて新たに株式を発行し、それを引き受けてもらうことで、資金調達を行うものです。
このとき、発行する株式数が過半数を上回るものであれば、その引受者は実質的に経営権を握ることになります。

株式を取得して会社の経営権を掌握できる点は株式譲渡と同じですが、第三者割当増資の特徴は以下の4点です。

  • 株式譲渡は株式の買収だが、新株引受者は対象会社への出資である
  • 既存の株主はそのまま残るため、株式譲渡のように全株式を取得できない
  • オーナー経営者の場合、自己所有株式を売却するわけではないので、譲渡益の獲得はない
  • 手続き面は、株式譲渡と同様に簡易である

吸収合併

合併とは、複数の企業が1つに統合されるM&Aスキームです。
統合後も会社組織が残る側を存続会社といい、統合されて会社組織が残らない(登記上は解散となる)側を消滅会社といいます。

合併には2種類あり、その1つが吸収合併です。
吸収合併とは、既存の会社間で行われる合併を意味します。
合併では、消滅会社の有していた資産、人材、権利義務の一切が、存続会社に包括承継されます。
組織が1つに統合されるため、M&Aの効果が早期実現しやすい点も特徴です。

また、対価という点では、株式譲渡などと違って、現金ではなく自社(存続会社)株式を対価にできます。
そのため、現金が対価の場合は多額の資金が必要ですが合併ではその必要がありません。
ただし、株式譲渡と比べ手続き面は煩雑となります。

新設合併

合併のもう1種である新設合併は、合併のために新設された会社が存続会社となって実施される合併のことです。
新設合併の特徴やメリットは吸収合併とほぼ同じですが、以下の相違点があります。

  • 存続会社が新設であるため、吸収合併と違って消滅会社の許認可は引き継げず、新たに取得しなければならない
  • 上記と同様の理由で、吸収合併では対価に現金を用いることも可能だが、新設合併での対価は株式に限られる
  • 新設会社では新たな登記費用分の出費が加算され、また登録免許税は吸収合併よりも高くなる
  • 手続き面においても、新規設立の手続きが加わるため、吸収合併よりもさらに煩雑になる

以上の点からM&Aの現場においては、企業グループ内の組織再編に用いられるケースを除いて、新設合併よりも吸収合併が選ばれることの方が多くなっています。

株式交換

株式交換とは、売り手企業(完全子会社となる企業)と買い手企業(完全親会社となる企業)の株式を交換することで取引を成立させるM&Aスキームです。
つまり、買い手が売り手の株式を取得するにあたって、その対価を買い手の株式とします。
また、株式交換は売り手と買い手が完全親子関係となる(買い手が売り手の全株式を取得する)前提で行われるM&Aスキームです。

なお、制度上では、買い手は対価として自社株式以外に、現金・社債・新株予約権・買い手の親会社株式なども用いて良いことになっています。

株式交換の主な特徴は以下のような点です。

  • 対価に現金を用意する必要がない
  • 合併と違って統合ではないため売り手企業の独立性は保たれる
  • 買い手は対価として新株を発行するため、1株あたりの株式価値が下落し株主構成も変わってしまう
  • 株式譲渡と比べると手続きは煩雑である

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株式移転

株式移転は、株式交換と類似するM&Aスキームです。
売り手と買い手が株式の交換で取引が成立する点は、株式交換と変わりません。
また、売り手と買い手が完全親子関係となることを前提にする点も同様です。

違いは、買い手が新設会社である場合に株式移転となります。

最もわかりやすい例は、企業グループがホールディングス制・持株会社体制に移行する際に用いられているM&Aスキームが株式移転です。
なお、特徴面については、株式交換とほとんど変わりません。

会社の一部だけを譲渡する方法

会社の一部を譲渡するM&Aスキーム(手法)には、以下のものがあります。

  • 事業譲渡
  • 吸収分割
  • 新設分割

それぞれのM&Aスキームの概要を掲示します。

事業譲渡

会社の中の一部の事業、およびそれに関連する資産などを選別して売買するM&Aスキームが、事業譲渡です。
事業すべてを譲渡することも可能ですが、会社組織・会社の経営権は売り手の手元に残ります。

事業譲渡の主な特徴は、以下のとおりです。

  • 売り手は赤字部門など不要な事業や資産を売却でき、買い手もまた必要な事業・資産のみを選別できる(両者の合意は必要)
  • 売り手は不要事業・資産を売却することで、主力事業に注力できるようになると同時にその資金も得られる
  • 買い手は、株式譲渡のような包括承継では偶発債務などを引き取ってしまうリスクがあるが、事業承継は選別できるためため、そのリスクがない
  • 売り手は法令により競業避止義務があり、20年間、譲渡した事業と同一の事業を同一区市町村および隣接区市町村で行えない
  • 包括承継ではないため、株式譲渡と比べて手続き面は煩雑であり、また、買い手は許認可を引き継げない

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吸収分割

会社の中の一部の事業とそれに付随する資産や権利義務、組織・人材を丸ごと切り出し、他社に包括的に承継させるM&Aスキームを、会社分割といいます。
端的に言えば、会社の中の1つの事業部をそのまま他社に譲り渡すことです。
合併と同じように、買い手は対価に株式を用いられるようになっています。

また、対価を渡す相手を売り手企業とするケースと、売り手企業の株主とするケースがあります。

会社分割は2種類あり、その1つが吸収分割です。
吸収分割は既存の企業間で行われ、一見、事業譲渡と類似して見えますが吸収分割は包括承継であり、個別の承継手続きがいらないため、事業譲渡ほど手続きが煩雑ではありません。

特に、従業員との労働契約を個別に交渉・締結しなくてよい点は大きなメリットです。
また許認可の引き継ぎも可能です。
ただし、包括承継には、偶発債務を引き継いでしまうリスクがあることは否定できません。

新設分割

新設分割はその名の通り、新設会社を対象に売り手側が事業部を引き渡すM&Aスキームです。
実際の新設分割は、企業グループ内の組織再編として行われることが一般的です。

なお、新設分割の特徴は、吸収分割とほとんど変わりません。
ただし、新設会社であるため、許認可の多くは引き継げず、この点については新たに取得する必要があります。

M&Aのスキームの選び方

M&Aスキームの基礎知識~それぞれの種類・特徴など~

各M&Aスキーム(手法)の概要がつかめれば、次に気になるのはどのようにM&Aスキームを選んだら良いのかという点でしょう。
売り手と買い手では立場が異なりますから、それぞれ分けてM&Aスキームの選び方の重要ポイントを掲示します。

売り手にとってのプライオリティ

売り手がM&Aスキームを選ぶ際に考えるプライオリティで上位にあるのは、以下の3点とされています。

  • 対価の流動性:対価は現金、上場株式、新株予約権、社債、非上場株式などでどれがよいか
  • 譲渡価額:できるだけ高く売却できるM&Aスキームはどれか
  • 実施時期:できるだけ早く交渉が進み成約できるM&Aスキームはどれか

特に中小企業が売り手の場合、対価は換金などの手間がいらない現金のプライオリティが最優先でしょう。

ただし、上場株式の場合、すぐに換金せず保有していれば株価が上昇し資産価値が高くなる可能性はありますが、その逆もあり得るためリスクが捨てきれません。
譲渡価額という点では、会社の一部を売却するよりもすべてを売却した方が当然、価額は高くなります。

実施時期を急ぐ場合には、できるだけ交渉がシンプルで手続きも簡易なスキームが選ばれます。

以上、3つの観点から鑑みた1つの結論は、株式譲渡になります。
株式譲渡が満たす条件は、以下のとおりです。

  • 対価:現金
  • 譲渡価額:会社すべてを売却するため高額
  • 実施時期:M&Aスキームの中で手続きは最も簡易

買い手にとってのプライオリティ

買い手がM&Aを実施する際のプライオリティとしては、以下の3つが上位とされています。

  • 支払い対価の柔軟性:現金以外の対価を選択肢とできるかどうか
  • 譲受価額:買い手の気持ちとしてはできるだけ低くおさえたい
  • 持株比率:M&Aの目的との兼ね合いで適切な持株比率とは

買い手の場合、どのようなプライオリティであれ、ポイントは「M&Aの主目的は何か」ということを第一に考え、スキームを選択することが肝要です。
現金を必要としている売り手に、対価に新株予約権を提案しても難色を示すでしょう。

譲受価額はデューデリジェンスとバリュエーションの結果で導き出すべきものであり、必要以上の値切りは破談になりかねません。
そして、M&Aの目的が明確であれば、必要な持株比率は自ずから答が出ます。

また、M&Aスキームの選択にあたっては、社内だけで結論を出さず専門家であるM&A仲介業者に相談することが最良の方法です。

まとめ~M&AならM&A Stationにおまかせ ~

M&Aスキームの基礎知識~それぞれの種類・特徴など~

M&Aには、様々なスキーム(手法)があります。
それぞれのスキームごとにプロセスや手続きに違いがあり、そのいずれにおいても非常に専門的な知識や経験が欠かせません。

また、M&Aではスキーム選択以外にも、取引相手探し、交渉、契約書の作成やチェックなどがあり、安心してそれらを任せられる信頼できるノウハウを持つアドバイザーが必要になります。

M&A StationおよびBricks&UKグループには、豊富なM&Aの知識と実務経験を有するM&Aアドバイザーだけでなく、公認会計士、税理士、社労士、司法書士なども数多く在籍しており、M&Aに関するフルサポートが可能な体制をとっています。

随時、無料相談をお受けしています。M&Aをご検討される場合には、早期にお問い合わせください。

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