買収後の要員管理~どの部署に何人必要か?その算出方法は?~
2021.5.25
2021.5.25
小規模な体制であれば、人員配置や要員管理にさほど悩むことはないでしょう。
しかし、中規模以上の企業となり、さらにM&Aによる買収や合併で一挙に従業員が増えて会社規模が拡大するケースでは、各種経営管理手法を知り、適切な人事施策や要員管理を行う必要があります。
そこで今回は、要員管理や従業員の待遇を考える上で役立つ、人員配置における要員算出方法や人事評価方法の見直しなどについて考えてみましょう。
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M&A後、合併により従業員が急増するケースでは、重複する組織の統廃合と新たな組織に合わせた必要人員の異動などの再配置は、急務かつ重要事項です。
この人員配置について、理論的に必要人員を割り出す2種類の手法が確立されているので以下に紹介します。
事業計画などに基づいて必要人員総数を決め、さらにそれを部門別にも行って部門ごとの必要人員数を割り出す方式です。
算出例1:必要人員=年間売上高×付加価値率×労働分配率÷1人当たり人件費
算出例2:必要人員=目標売上高×適正人件費率÷1人当たり人件費
各部門から業務量の報告を受け、それに合わせて必要人員数を割り出す方式です。
算出例:必要人員=総業務量÷(1人当たり標準業務量×所定労働時間)
上述したトップダウン方式とボトムアップ方式は、どちらか一方を採用するというようなものではなく、両者を複合的に用いて必要人員を定める手法が取られます。
具体的には、経営状況が厳しい場合はトップダウン方式を優先的に捉えながらも、ボトムアップ方式での人員数も勘案するなどが一例です。
ただし、M&Aによる合併後の場合には、総務・経理などの間接部門は組織が重複しており、明らかに人員オーバーしています。
したがって、あらためて厳密に適正な必要人員を割り出した上で、配置人員を決めなければなりません。
その際に必要な情報は、その部門の業務量です。
業務量を導き出すためには職務分析が必要であり、具体的には、以下の4つの手法があります。
いずれにしてもポイントとなるのは、該当部門の仕事自体の棚卸しをしっかりと行うことが職務分析であり、そうでなければ適正な業務量の把握はできません。
人員配置後の要員管理のテーマは、どのように人事評価を行って従業員を処遇・待遇するかです。
これは視点を変えると、従業員にどのような働き方を求めるか、と言えます。
多くの企業では、M&A実施以前の評価のベースに企業理念が横たわっているはずです。
しかしながら、合併実施後においては、別な社風の下で仕事をしてきた売り手企業出身従業員に対し、そのような評価手法は適切でないかもしれません。
この場合に着目すべきは、前章で取り上げた職務分析を活用する、「ジョブ型」人事手法の採用です。
ジョブ型手法とは、まず該当業務内容を明確にし、それに適する従業員を配置します。
そして、その従業員の業務成果だけが評価対象です。
このようにジョブ型評価に移行することによって、売り手企業出身従業員は、企業文化の違いや新たな経営理念に振り回されることなく、その実力を発揮しやすい業務環境に身を置けることになります。
合併後の買い手企業において人員配置・人材活用を有効に行うためには、評価制度を一新し、そのことによって従業員の働き方自体も見直すことにつなげる視点が肝要です。
近年、M&Aが活発化してきたことに伴い、M&A仲介会社の数も大きく増大しました。
しかしながら、多くのM&A仲介会社の業務範囲は、文字どおり「仲介」までであり、M&A成立後のPMIに対するサポートサービスを提供している会社は少ないのが実情です。
M&A Stationを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、グループとして税理士、社会保険労務士、司法書士、M&Aアドバイザーが在籍しています。
買収後の難問であるPMIについても、それら各専門家スタッフによる総力を挙げたお力添えが可能です。
M&Aで買収を検討される際には、買収後のPMIサポートも万全であるM&A Stationまで、お気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修M&A労務アドバイザー 額賀 康宏
社会保険労務士事務所Bricks&UKに所属する社会保険労務士。
M&A Stationでは労務関連のスペシャリストとして、統合プロセスでの労務トラブル回避などに有益なアドバイスを提供している。
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