買収後の企業理念統合~違う価値観を融和さ せるには~
2021.5.19
2021.5.19
企業理念(ビジョン)は会社の礎です。会社の根本的な価値観・考えを明文化しています。
事業計画も経営戦略・戦術も、そして、各従業員一人ひとりの業務も、企業理念がその基準となるものです。
したがって、歴史がある会社ほど、企業理念が従業員に浸透しています。
それでは、M&Aによる買収や合併を実施する場合、異なる企業理念を掲げてきた買い手側、売り手側は、これをどうすればよいのでしょうか。
異なる企業理念を維持したままではM&Aのシナジー効果は得られません。
また、買い手側の企業理念を一方的に売り手側に押しつけても成功しないでしょう。
買収や合併後においては、新たな企業理念を掲げることが唯一無二の道です。
M&Aの実施後、どのように企業理念を作り上げればよいか考えてみましょう。
Contents
近年、多くの上場企業において統合報告書が作成・発表されています。
この統合報告書とは、当事企業の情報発信や企業価値向上を目的に、自社の今後の企業活動とそれに伴う価値創造の方針・戦略が述べられているものです。
そして、それらの方針や戦略の基準として根本にあるのが、企業理念(ビジョン)になります。
いい換えれば、会社がどうあるべきかを指し示すのが企業理念です。
つまり企業理念は、従業員一人ひとりの行動の指針でもあります。
有名な企業理念の例として、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J)の「我が信条(Our Credo)」で掲げられている4大テーマ(抜粋)を見てみましょう。
J&Jはこのような企業理念を掲げることによって、世界中のグループ企業とその従業員がブレることなく事業を行っています。
M&Aを実施する場合も、異なる企業文化を持った買い手側と売り手側が一緒になるわけですから、両者がM&Aの意義をきちんと認識しシナジー効果を創出するためにもビジョンは必要です。
そして、買い手側と売り手側がビジョンを共有できたとき、M&Aの成果が得られるでしょう。
企業理念(ビジョン)は、会社の数だけ存在します。
中には多少、類似する表現の場合もありますが、基本的に企業理念はそれぞれの会社独自のものです。
M&Aでの買収・合併を機に、新たな企業理念を打ち立てる際には注意したい点があります。
新たな企業理念だからといって、取ってつけたような美辞麗句を並べ、自社の状況に合っていないような言葉を掲げてしまうことです。
おそらくこれでは、掲げた企業理念が社員には浸透せず、良い結果は得られないでしょう。
そこで、M&A実施後の自社に即した企業理念を策定するためには、まず、買い手側企業と売り手側企業それぞれの歴史を振り返ってみることです。
買い手側・売り手側それぞれの設立時の意思、重要なトピックが起こったときの対応と結末までの過程などを知りましょう。
新たな企業理念を作るにあたっては、買い手側・売り手側の相互理解が不可欠です。
お互いの歩みを知ることによって、それぞれの強みや弱みも知ることになり、実態に即した企業理念が生み出せます。
企業理念(ビジョン)には、企業のあり方が示されています。
企業のあり方とは、具体的に以下のようなものです。
M&Aで合併をした場合に、それらをさらに集約させていい換えると以下の2つに絞られます。
そして、上記のような内容を表現する企業理念を策定するためには、買い手側経営者と売り手側経営者の相互理解が欠かせません。
具体的には、合併を決断するに至った経緯と決断した事由、つまり、合併をした目的をあらためて問い直すプロセスが必要です。
それぞれ異なる成り立ちと経営方針を持って運営されてきた買い手側・売り手側、その張本人であるそれぞれの経営者が、新たに共有できる価値観を見い出すことによって、真の企業理念が策定できるでしょう。
策定された企業理念(ビジョン)を絵に描いた餅で終わらないためには、企業理念に込められた経営者の意思や考えを、従業員によく理解させ日常の業務に反映させることが必要です。
この場合の理解とは、単に言葉を説明するにとどまらず、何らかの具体的施策によって当事者意識を持たせることを意味します。
具体例として、実際に大手企業で行われている取り組みを見てみましょう。
「我が信条」のうち、社員に対する責任の一環である「社員の提案、苦情が自由にできる環境」を全うする施策として、定期的に全世界の社員に一斉の意識調査を行っています。
調査内容は、グループ各社が「我が信条」に則って経営されているか社員に尋ねることで、各社の経営健全度を測っているのです。
どんなに苦労して企業理念を策定しても、その内容が体現されなければ意味がありません。
そして、企業理念を体現するのは一人ひとりの従業員です。
その実行に向けては、専門家にも相談し、何らかの人事上の施策を行うのが有効な手段となります。
近年、M&Aが活発化してきたことに伴い、M&A仲介会社の数も大きく増大しました。
しかしながら、多くのM&A仲介会社の業務範囲は、文字どおり「仲介」までであり、M&A成立後のPMIに対するサポートサービスを提供している会社は少ないのが実情です。
M&A Stationを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、グループとして税理士、社会保険労務士、司法書士、M&Aアドバイザーが在籍しています。
買収後の難問であるPMIについても、それら各専門家スタッフによる総力を挙げたお力添えが可能です。
M&Aで買収を検討される際には、買収後のPMIサポートも万全であるM&A Stationまで、お気軽にお問い合わせください。
電話、お問い合わせフォーム、また、LINEからのお問い合わせも可能となっております。
この記事の監修M&A労務アドバイザー 額賀 康宏
社会保険労務士事務所Bricks&UKに所属する社会保険労務士。
M&A Stationでは労務関連のスペシャリストとして、統合プロセスでの労務トラブル回避などに有益なアドバイスを提供している。
近年、M&Aが活発化してきたことに伴い、M&A仲介会社の数も大きく増大しました。
しかしながら、多くのM&A仲介会社の業務範囲は、文字どおり「仲介」までであり、M&A成立後のPMIに対するサポートサービスを提供している会社は少ないのが実情です。
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M&A Stationでは、豊富な案件からスムーズなマッチングを実現。
効率的な資金調達や、財務・税務・ビジネス・法務・人事、あらゆるDD(デューデリジェンス)を自社内で一括で行うなど、 買収や合併後、制度面や業務面でのスピーディな統合を実現し、シナジー効果の獲得に直結するM&Aを支援いたします。
M&Aにまつわる基礎的な疑問やご相談から、専門的なアドバイスが欲しい方など。
随時、ご相談を承っております。お気軽にご利用くださいませ。
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