中小企業M&Aにおけるバイアウトとは?手法やメリット・デメリットを紹介
2023.11.09
2023.11.09
会社が業績不振になった場合に、経営陣や従業員などが株式を買い取る手法を「バイアウト」と言います。
検討しているものの、イメージができず実行に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。詳しい手法やメリット・デメリットがわかれば、少し安心して行動できるものです。
本記事では、M&Aにおける出口戦略としてのバイアウトについて説明します。
Contents
バイアウトとは、経営陣や従業員などが会社の株式を買い取ることで、経営権を取得するために行われます。
主に会社の業績が悪化した場合に活用され、これによる経営の再建が目的とされます。
近年、日本の中小企業においてこのバイアウトが増加傾向にあります。
バイアウトと似た手法に「M&A」と「イグジット」があります。その違いはどこにあるのでしょうか。この章で説明します。
バイアウトとM&Aの大きな違いは「買い手」にあります。
バイアウトでは、主に経営陣など社内の人物が買い手です。対するM&Aの買い手はほとんどの場合、他社になります。
イグジット(EXIT)とは、これまで投下した資本を回収するための手法を指し、株式を売却して会社を立ち上げた時に投資した資本を回収することです。
つまり、バイアウトは経営陣などが株式を買い取って経営権を得る方法なのに対して、イグジットは資本を回収するための手段という違いがあることになります。
なお、イグジットの代表的な方法として株式公開する「IPO」が挙げられます。
バイアウトには、主に3つの方法があります。メリットとデメリットも含め、それぞれの特徴を確認していきましょう。
MBOとは「マネジメント・バイアウト(Management BuyOut)」の略語で、経営陣が自社の株式を買い取ることを指します。
MBOの主な目的は事業の継続です。
多額の資金が必要になるため、「特別目的会社」を設立するのが一般的でしょう。設立した特別目的会社を通じて、金融機関などから資金を調達します。
最終的には特別目的会社と対象会社が合併して、経営陣が経営権を得ることになります。
MBOの大きなメリットは、外部からの圧力がなくなることでしょう。
外部株主のことを考えると、どうしても短期的な利益を追求する経営になってしまいます。
MBOを実施して経営陣が株式を持てば、目先の利益だけに捉われずに長期的な事業戦略を立てることが可能です。
その一方で、MBOを実施すると株式が非公開になるというデメリットもあります。
上場を廃止しなければならないため、資金調達が難しくなる可能性もあります。
EBOは「エンプロイー・バイアウト(Employee BuyOut)」の略語になります。従業員が自社の株式を買い取り、経営権を得る方法です。
自社内で事業承継することで、経営理念や社風を維持できるのがEBOのメリットでしょう。
また、EBOではこれまでと経営陣が変わることになるため経営体制の刷新も可能です。
なお、MBOは経営陣が自社の株式を買い取ると先に説明しました。
つまりMBOとEBOには、買い手が経営陣か従業員かという違いがあるわけですが、実際には経営権を持つほど資金力がある従業員はなかなかいるものではありません。
EBOはMBOより成立が難しくなります。
LBOは「レバレッジド・バイアウト(Leveraged Buyout)」の略語です。
会社の資産やキャッシュフローを担保に資金調達を行って、株式を買い取ります。
LBOでは、金融機関から借り入れを行うため、自己資本がなくてもバイアウトを実現することが可能です。少ない資本で大きなリターンを得られることが、レバレッジド(テコの原理)と呼ばれる由来です。
デメリットとして、バイアウトのあとの再建が上手くいかなかった場合、投資額以上のリターンを得られないことがあげられます。
また、LBOは借り入れの金利が高く利息の支払いに多くの資金が必要になるなど、リスクが高くなるためLBOを実施するケースは実は少ない傾向にあります。
なお、先に紹介したMBOやEBOは自社内で事業を承継するのが特徴です。
対してLBOは、他社や社外の人が株式を買い取るという違いがあります。
ここでわかりやすく、それぞれの方法の特徴とメリット・デメリットを表で整理しておきましょう。以下のとおりです。
手法 | 特徴 | メリット | デメリット |
MBO | 経営陣が株式を買い取る | 長期的な事業戦略を立てることが可能 | 株式が非公開になる |
EBO | 従業員が株式を買い取る | 経営理念や社風を維持できる | 資金のある従業員がいない可能性がある |
LBO | 資産やキャッシュフローを担保に借り入れを行い、他社や社外の人物が株式を買い取る | 少ない資金でバイアウトを実現できる | ・リターンが得られない可能性がある ・借り入れの金利が高い |
ここまで、バイアウトの概要や方法の種類について説明してきました。
次に、中小企業がバイアウトを成功させるためのコツを紹介します。
以下の3つをポイントに、バイアウトを実施してください。
バイアウトを成功させるには、自社の価値を正確に把握しておくことが重要です。
企業価値によって、株式の価格は大きく変動します。適性価格を知って、不利益を避けましょう。
評価にはさまざまな方法があり算定も複雑です。正確な算出には、M&A仲介会社などの専門家に依頼すると安心でしょう。
バイアウトファンドとは、名前の通りバイアウトを利用したファンドのことを指します。
投資家から資金を集め、業績不振の会社に投資しリターンを得ることがバイアウトファンドの目的です。
バイアウトファンドでは、経営メンバーを派遣してもらうことも可能です。活用することで、成功の可能性を高めることができるでしょう。
バイアウトでは、M&A仲介会社などの専門家に依頼することをおすすめします。
バイアウトには専門的な知識が必要になってくる場面が多くあります。
専門家に依頼すれば、その都度的確なアドバイスを受けられるでしょう。契約書や交渉も任せることができるため、スムーズにバイアウトを実施できます。
なお、バイアウトに必要な知識は多岐に渡ります。
依頼するときは必要な分野に精通し、幅広くサポートしてくれる専門家を選ぶようにしましょう。
今回はバイアウトについて詳しく見てきました。
バイアウトを実施する場合、専門家への依頼がおすすめです。会社の価値を正確に評価してもらえますし、的確なアドバイスを受けることができます。
バイアウトでは必要な知識が多岐に渡ります。専門家と言っても得意分野はさまざまですから、依頼する際は必要な知識を持っているか確認することが重要です。
当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、各分野の専門家が多数在籍し、チームを組んでバイアウトやM&Aをサポートします。ぜひ一度お問い合わせください!
この記事の監修M&Aアドバイザー 永井 拓海
税理士法人Bricks&UKにて、会社設立や創業融資などスタートアップの支援を数多く担当。
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