赤字企業を買収するメリットは?成功のポイントや事例を紹介
2023.10.20
2023.10.20
M&Aで他社を買収する場合、一般的に想像するのは黒字の企業を相手にするケースが多いのではないでしょうか。
業績が良い会社を買収すれば、確かに自社の事業を拡大させることが可能です。
しかし、実は赤字企業を買収するのも1つの方法です。赤字企業の買収にはメリットも多く存在するのです。
本記事では、あえて赤字企業を買収するメリットについて解説いたします。
Contents
そもそも、赤字企業の買収は成立するのでしょうか。
買収が可能かどうか、最初の疑問として浮かぶ人は多いでしょう。
実は赤字企業の買収にはメリットもあり、実際に行われたケースは多くあります。決して不可能な取引ではないのです。
赤字企業を買収するメリットは後ほどくわしく紹介しますので、参考にしてください。
一般的に赤字企業の買収は、「株式譲渡」か「事業譲渡」のどちらかの方法で行われます。
株式譲渡とは、株式を買収することで経営権を取得する方法で、M&Aにおいてもっとも代表的な方法と言えるでしょう。
一方、事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部を買収する方法です。
株式譲渡では経営自体も買い手に渡りますが、事業譲渡の場合、経営権が売り手に残るという特徴があります。
また事業譲渡では買収する事業を選択することが可能ですから、企業全体としては赤字でも、業績の良い事業だけを切り取って買収することができます。
なお、前述した株式譲渡では会社の全てを引き継ぎます。
これには債務も含まれますから、赤字企業の買収には一定のリスクが伴います。
対して事業譲渡の場合、債務を引き継ぐ必要はありません。
この点から、赤字企業の買収には株式譲渡より事業譲渡の方が向いていると言えます。
赤字企業の買収となると、リスクばかりを想像しがちです。
しかし、実はメリットも存在します。
赤字企業を買収するメリットを紹介します。
まず第一に、メリットとして少ない資金で買収できることがあげられます。
赤字企業は、企業価値がどうしても低くなる傾向にあります。株式の価格は企業価値に比例しますから、少ない資金で買収することが可能です。
たとえ赤字だとしても、社歴が長かったり独自のノウハウを持っていたりと、企業価値そのものは高いケースもあります。
そうした企業を少ない資金で買収できれば、得られる利益が大きくなります。
どのM&Aにも「シナジー効果」が得られる可能性があります。
M&Aにおけるシナジー効果とは、2社以上の会社が合わさることで相互に影響し合い、足し算以上の効果が得られることを指します。
例えば生産設備が増加することで生産量を増やせたり、販路拡大によって顧客を獲得できたりするのもシナジー効果です。
たとえ買収相手が赤字企業だとしても、シナジー効果を得られる可能性があります。
高いシナジー効果が生まれ、利益につながるケースは少なくありません。
なおシナジー効果については、以下の記事でもくわしく説明しています。
赤字企業では欠損金を翌年以降に繰り越して利益と相殺することが可能です。
税務上の欠損金を翌年以降の利益と相殺する制度を「繰越欠損金」と言います。
赤字企業を買収してその後業績が回復した場合、これまでの赤字を利益から差し引くことができます。節税に効果的でしょう。
メリットは多くあるものの、やはり赤字企業の買収には注意が必要です。
ここで、赤字企業の買収を成功させるポイントを紹介します。
赤字企業の買収にはデューデリジェンスが欠かせません。
デューデリジェンスとは、M&Aを行うときに買い手が売り手に対して財務や税務、法務などのリスクを調査するプロセスを指します。
どのM&Aでもそうですが、貸借対照表に計上されていない「簿外債務」を引き継ぐリスクがあります。特に赤字企業の場合、買い手を見つけるために簿外債務の存在を隠している可能性が高くなります。
デューデリジェンスをしっかり行い、簿外債務がないか確認する必要があります。
その際、デューデリジェンスは経験や業界の知見が豊富な専門家に依頼して、正確な調査を行ってもらうことをおすすめします。
赤字企業の買収は、通常のM&Aよりリスクが高いことは間違いありません。
リスクを最小限に抑えるためには、M&A専門家のアドバイスは必須です。
専門家であれば赤字企業の買収をサポートした経験があるでしょうし、ノウハウも持っています。
プロに依頼することでリスクを避け、買収を成功させる可能性が高まると言えます。
実際に赤字企業の買収を成功させた事例を紹介します。
有名な買収として日本電産のM&Aがあげられるでしょう。
日本電産はM&Aで事業を拡大させてきた企業の1つです。
もともと売上高がおよそ500億円の中小企業でしたが、買収を繰り返すことで大企業に成長しました。
これまで日本電産は、60社以上の赤字企業を買収しています。
その全てを黒字化することに成功しました。
買収において、以下の方針を打ち出したことが成功の理由として挙げられます。
楽天もM&Aで事業を拡大してきた企業です。
金融取引や買い物を自社サービス内で完結させる「楽天経済圏」の構築にも、買収が大きな役割を持ちました。
楽天は2009年、赤字企業だったネット銀行イーバンクを買収し完全子会社化しています。
楽天経済圏を構築させるために、金融事業が必要だと判断したことが理由です。
楽天はイーバンクを買収したことで新規顧客を獲得し、大きな利益を得ることに成功しました。
電子機器の生産メーカーとして大手の鴻海がシャープを買収しています。
買収が行われた当時のシャープは、長期に渡る収益赤字が深刻化していました。
倒産の危機にも直面しているほどで、経営再建が求められていたのです。
2016年、ブランドの獲得を目的に鴻海はシャープの買収に至りました。
買収後はコスト削減に注力し、シャープの業績を改善させています。
今回は赤字企業の買収について見てきました。
赤字企業の買収には、メリットもあります。
しかし、やはりリスクが高いことは否めないでしょう。リスクを最小限に抑えるには、M&A専門家に依頼することが最善です。
これまでの経験と豊富な知識で、買収が成功する可能性を高めることができます。
なお、専門家と言っても得意分野はさまざまです。
赤字企業の買収には多岐に渡る知識が必要ですから、依頼先には注意しなければなりません。
当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」では各分野の専門家がチームを組んで連携し合いM&Aをサポートいたします。
ぜひ一度お問い合わせください!
この記事の監修M&Aシニアアドバイザー 齊藤 宏介
税理士法人Bricks&UKにて、税務・会計の豊富な経験から事業者の良きパートナーとして活躍。
M&A Stationではアドバイザーの中心的存在として、様々な業種の会社へのM&Aアドバイザリー業務を取り仕切る。
M&A Stationを運営する「税理士法人Bricks&UK」は、顧問契約数2,500社以上、資金繰りをはじめ経営に関するコンサルティングを得意分野とする総合事務所です。
中小企業庁が認定する公的な支援機関「認定支援機関(経営革新等支援機関)」の税理士法人が、皆様のM&A成功を強力サポートします。
豊富な案件からスムーズなマッチングを実現。
効率的な資金調達や、財務・税務・ビジネス・法務・人事、あらゆるDD(デューデリジェンス)を自社内で一括で行うなど、 買収や合併後、制度面や業務面でのスピーディな統合を実現し、シナジー効果の獲得に直結するM&Aを支援いたします。
まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
M&A Stationでは、豊富な案件からスムーズなマッチングを実現。
効率的な資金調達や、財務・税務・ビジネス・法務・人事、あらゆるDD(デューデリジェンス)を自社内で一括で行うなど、 買収や合併後、制度面や業務面でのスピーディな統合を実現し、シナジー効果の獲得に直結するM&Aを支援いたします。
M&Aにまつわる基礎的な疑問やご相談から、専門的なアドバイスが欲しい方など。
随時、ご相談を承っております。お気軽にご利用くださいませ。
カテゴリ
サイト内を検索