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M&Aで得られる「シナジー効果」とはなに?

近年、中小企業を中心にM&Aの件数が増加を続けています。
M&Aで得られるメリットにはさまざまなものがありますが、なかでも「シナジー効果」は大きなメリットで、M&Aを行う主要な目的にする企業も少なくありません。

本記事では、M&Aで得られるシナジー効果について、詳しく説明していきます。
M&Aを検討している方はぜひ参考にしてください。

一般的な「シナジー効果」の意味

一般的に「シナジー効果」とは、事柄や人などがふたつ以上合わさったときに、足し算した以上の価値が得られることを指します。

例えばひとつの事柄の価値を100としてふたつの事柄を合わせたときに、単純に足し算すると100+100=200になります。
しかし、お互いが影響を与え合うことで、合わせて200以上の価値になるケースもでてきます。このように、足し算以上の価値が生まれることをシナジー効果と言います。

もともとは、生理学などの分野で使われていた用語ですが、「戦略経営の父」と呼ばれるイゴール・アンゾフによって、経営用語として使われるようになりました。

M&Aでの「シナジー効果」の意味

M&Aでのシナジー効果とは、企業が統合したときに経営資源を共有することで、ひとつの企業だけで経営していくより効果が大きくなることを意味します。

パソコンや周辺機器を販売しているA社と、インターネット回線のB社とのM&Aの場合を例にして考えてみましょう。
考えられるシナジー効果としては、以下のものがあげられます。

  • A社が顧客にパソコンを販売するときに、B社のインターネット回線を合わせて契約してもらうことで、売上があがった
  • B社が顧客にインターネット回線を契約してもらうときに、A社のパソコン周辺機器を販売し、売上があがった
  • B社の顧客がインターネット回線を契約するときに、A社のパソコンのパンフレットを渡したことで、A社の認知が広まった

対義語「アナジー効果」とは

シナジー効果の対義語として「アナジー効果」という用語があります。

それぞれの企業の価値を100として、M&Aで2社が合わさったときに、200以上の価値になれば、シナジー効果が得られたと言えます。
しかしケースによっては、M&Aを行っても200以下の価値になってしまうこともあり得ます。
合わせた以上の価値にならないことを、アナジー効果と言います。

シナジー効果にはどんな種類がある?

M&Aで得られる「シナジー効果」とはなに?

シナジー効果は大きく分けて、次の4種類に分けることができます。

1.販売シナジー

販売シナジーとは、商品やサービスの販売面で相乗効果がでることです。
主に以下のものがあげられます。

クロスセリング・アップセリング

クロスセリングとは、前述したパソコンなどのケースのように、顧客が購入する商品と関連する他の商品を合わせて購入してもらうことで、売上をあげていく手法です。

また、同じ商品を提供している企業同士でM&Aが行われた場合、どちらかが価格の高い商品やサービスを扱っている場合があります。
価格の高いものを顧客に購入してもらうことで売上をあげていくアップセリングも、販売シナジーのひとつです。

販売チャネルの拡大

商品が流れる経路のことを販売チャネルと言います。
M&Aによって、それぞれの経路を活用できるようになり、販売チャネルが拡大されます。結果として、売上があがる可能性があります。

ブランド効果

M&Aでは、相手先の企業が保有する既存ブランドを活用することも可能になります。
それぞれの企業のブランドイメージを効果的に活用することで売上も上がり、新たなブランドイメージを確立させる時間の短縮にもつながります。

2.生産シナジー

M&Aでは、技術や資源も共有できるようになるため、工場などの生産設備の稼働率も上げることができ、生産面においても相乗効果が得られます。
生産シナジーでは以下のものが代表的です。

価格交渉力の強化

M&Aを行った企業同士が共同仕入を行うことで、大量の仕入れも可能になります。
スケールメリットを活かして販売元に価格交渉を行いやすくなるでしょう。

物流コストの削減

物流を効率的に統合することで、在庫の管理や人員、設備にかかる物流コストの削減が見込めます。

3.投資シナジー

企業が統合することで、投資のための資金も増えることになります。
さらに、財務状況が安定することで信用力があがり、大規模な資金調達も可能になってくるでしょう。
投資面での相乗効果である投資シナジーでは主に以下の効果があげられます。

研究開発費用の強化

資金が増加することで、研究開発費用への投資を増やすことが可能です。
さらに、投資の費用はそれぞれの企業で分担することや、研究施設の統廃合などによって、研究開発費用のコスト削減も期待できます。

技術・ノウハウの複合

投資を増やせば、研究開発も活発化されます。
加えて、これまで資金をかけて培ってきた技術やノウハウが複合されることで、新製品や新サービスが生まれる可能性もあります。

4.経営シナジー

経営ノウハウを共有することで生まれるのが経営シナジーです。
次の効果が考えられます。

戦略的な経営が可能

M&Aでは経営者や役員などの経営陣がひとつになることで、それぞれの経営手法を集めることができます。
お互いの手法の強みを活かすことで、戦略的な経営が行えるようになるでしょう。

異業種とのM&Aの場合、相手企業が新たな分野の経営ノウハウを持っていますから、新規参入後の経営もスムーズです。
M&Aの後、お互いに経営状況が良くなっている場合には、経営シナジーが得られたと言って良いでしょう。

M&Aで生じやすいアナジーとは?

M&Aで得られる「シナジー効果」とはなに?

これまで、M&Aで得られるシナジー効果について説明してきました。
シナジー効果を得るには、対するアナジーへの理解を深めることも必要です。ここで、M&Aで生じやすいアナジーについて説明していきます。

コストの増加

M&Aを行ったことで生じる非効率化によって、コストが増加してしまうアナジーは起こりやすいものです。

M&Aでは経営統合が行われますが、制度の統合や従業員の教育には、コストがかかります。
またスムーズに経営統合が行われず長引いてしまえば、その間のコストも大きくなるでしょう。
狙ったシナジー効果以上に、コストがかかってしまうことも考えられます。

人材の流出

経営者や経営方針が変われば従業員は不安になりやすいですし、士気が下がってしまう可能性もでてきます。
最悪の場合、M&Aで従業員が不安や反感を抱き、辞めてしまうケースは珍しくありません。

有能な人材やキーパーソンの流出によって、予定していた事業やサービスが展開できない可能性も考えられます。
人材の流出はもっとも生じやすいアナジーのひとつです。

顧客・取引先の離反

買収や合併により企業文化やブランドイメージが変わることで、顧客が離れてしまう可能性もあります。

また、業務の移行がスムーズに行われない場合、取引先からクレームが来ることや、最悪の事態として取引がストップしてしまうことも考えられます。
顧客や取引先が、売り手側の企業に反感を持ち、離れてしまう場合もあるでしょう。

顧客・取引先の離反も、アナジーのひとつとして知っておいてください。

同業種、異業種のM&Aにおけるシナジー効果について

M&Aでは、同業種間で行われるパターンと異業種間のパターンがあります。その際、同業種か異業種かで得られるシナジー効果にも違いがでてきます。
それぞれのパターンの際、どのようなシナジー効果が考えられるか解説します。

同業種でのM&Aの場合

同業種のM&Aでは、主に販路の拡大と生産能力の向上がシナジー効果として得られます。

例えば、これまで首都圏にしか販路がなかった企業と、首都圏以外の販路をもつ企業でM&Aが行われればそれぞれ相互に新たな販路を獲得することができます。

またM&Aでは、相手企業のもつ技術やノウハウ、生産設備を取り込むことになりますので、生産能力が向上し、製品あたりのコストが下がれば利益率も高くなります。

双方の技術を合わせることで研究開発が進み、既存のものを超える製品が生まれるケースもあるでしょう。

異業種でのM&Aの場合

新たな分野への参入を目的にM&Aが行われることがしばしばあります。
異業種でのM&Aでは、これまでとは違う分野に参入することが可能になり、さまざまなシナジー効果が期待できます。

相手企業が既に確立したノウハウを共有することで、新規参入も軌道に乗せやすくなり、相手企業の生産設備を受け継ぐことも可能なため、設備投資のコストを削減できます。

ノウハウを持っている従業員も同時に確保できますので、人材の採用や教育にかかるコストの削減も見込めるでしょう。

シナジーの分析に活用されるフレームワーク

戦略的なM&Aを行うには、フレームワークを利用して分析・検討していくことがおすすめです。
シナジー効果の分析にも活用されるフレームワークに、「アンゾフの成長マトリクス」があります。

アンゾフの成長マトリクスとは、「シナジー効果」を経営用語として使いだした、イゴール・アンゾフが、経営戦略を考えるフレームワークとして提唱したものです。

まずは、表で分かりやすく見てみましょう。

アンゾフの成長マトリクス

アンゾフの成長マトリクスでは、経営戦略を製品と市場に分け、さらに既存と新規に分けています。
組み合わせによって4つの経営戦略があることが分かります。

①市場浸透戦略

既存商品と既存市場の組み合わせの場合は、「市場浸透戦略」と呼ばれています。
同じ市場の同業他社とのM&Aの場合は、ここに位置します。

市場浸透戦略では、生産設備の統廃合などコスト削減を狙っていくと良いでしょう。

②新製品開発戦略

新規製品と既存市場の組み合わせを「新製品開発戦略」と言います。

既存の市場に、新しい商品やサービスを投入し、これまでとは異なる層の顧客獲得を狙う戦略です。

③新市場開拓戦略

既存製品と新規市場の組み合わせが「新市場開拓戦略」です。

異なる拠点や市場にある、同業他社とのM&Aの場合のフレームワークです。

④多角化戦略

新規製品と新規市場の組み合わせが「多角化戦略」のフレームワークです。

新しい市場に新製品を投入し、利益をあげていくための戦略です。

シナジー効果を高めるためのポイント

M&Aで得られる「シナジー効果」とはなに?

シナジー効果を高めるために注意すべき点を紹介します。
自社のM&Aでシナジー効果を高めるための参考にしてください。

POINT.1 アナジー効果を排除する

シナジー効果を高めるには、まず、マイナス要素であるアナジーを排除することに意識を向けてください。

例えば、人材の流出といったアナジー効果を排除するには、M&Aのあと従業員が不安や反感を抱かないように配慮することも大切です。
コストがかさまないよう、経営統合に注力するなど、アナジー効果を排除していきましょう。

POINT.2 相性を考慮して相手企業を選定する

合併後の経営統合プロセスのことを指すPMI(Post Merger Integration)を成功させることも必要です。

M&Aは成約した時点で終わりではありません。経営のやり方や制度など、さまざまな経営統合が行われます。
この経営統合の成否がM&A自体の成否を決めるといっても過言ではないでしょう。
M&A後のPMIによって、会社間のさまざまな事柄の統合がなされてこそシナジー効果が創出されるのです。

M&Aにおいて重要なPMIですが、やはり企業同士の相性が良いと成功しやすくなります。
特に従業員の相性は重要です。
企業文化や業務の流れが極端に違うと、統合後に従業員間で摩擦が生じ士気が下がってしまうリスクがあります。

PMIを成功させて高いシナジー効果を得るためにも、相手企業を選ぶときは、「双方にシナジー効果が得られる組み合わせか」といった相性の視点を持つことをおすすめします。

POINT.3 ベストなスケジュールでM&Aを実施する

一番良いタイミングでM&Aを行うことも重要です。

販売シナジーや投資シナジーは、M&Aが実施されてからすぐに効果を得られるわけではありません。
商品には流行もありますし、M&Aを行ってからシナジー効果が得られるまでには、ある程度時間も必要です。
商品が売れる時期と社会情勢を照らし合わせることや、相手先の企業の状況を良く見て、ベストなタイミングでM&Aを行っていきましょう。

その際、専門知識やノウハウを有するM&A仲介会社にサポートを依頼するとより安心です。

POONT.4 リスクを最小化する

実行する際にリスクも存在するのがM&Aですが、最小化することでシナジー効果を高めることにつながります。

M&Aが成立したあとに、売り手側の企業に貸借対照表に記載されていないリスクや簿外債務が見つかることもあります。
思わぬコストがかかることや、トラブルが発生することがあれば、高いシナジー効果を得るのは難しくなるでしょう。

売り手側の企業のリスクや財務状況を調査するデューデリジェンスを慎重に行い、リスクを最小化していきましょう。

まとめ~シナジー効果を得られるM&AならM&A Stationにおまかせ~

M&Aで得られる「シナジー効果」とはなに?

シナジー効果は、M&Aを実施する企業同士の長所が掛け合わせることで得られる相乗効果で、シナジー効果を得るには、アナジー効果を排除したり、タイミングを見極めたりと、専門的な知識が欠かせません。
シナジー効果を最大限獲得するために押さえておかなければいけないポイントも多岐に渡ります。

M&A Stationでは、豊富な知識や経験を持ったアドバイザーが、高いシナジー効果が得られるM&Aになるようお手伝いします。

また、運営会社である「税理士法人Bricks&UK」は、国から認定を受けた「認定支援機関」です。
効率的な資金調達をサポートや事業計画書の無料診断サービスも提供しています。
ぜひ一度、ご相談ください。

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中小企業のM&Aでは、多くは「株式譲渡」または「事業譲渡」により実施されます。
M&Aで必要な資金というと、株式・事業譲渡の対価のための資金が頭に浮かびますが、実際にはM&Aを行う際に必要な資金は多岐に渡ります。

【M&Aで必要になる費用】

  • 買収に必要な費用
  • 税金支払いのための費用
  • 仲介手数料・アドバイザリー費用
  • 登記費用
  • 株券発行費用

買い手側はもちろん、意外に見落としがちですが売り手側に費用が発生する場合もあります。

近年は中小企業の事業承継の必要性から、M&Aや資金調達の動きが活発になっています。
疑問や不安を残さず、確実に資金調達するために、M&Aのエキスパートである我々「M&A Station」で事前の融資無料診断をおすすめします。
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