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マイクロM&Aとは?小規模な個人M&Aが増加傾向

一般的なイメージでは合併・買収というと、大企業が実施するイメージがあるかもしれません。しかし、M&Aにはさまざまな規模のものがあり、近年は比較的小規模なM&Aが増加傾向にあります。

その中でも、最も小規模なM&Aを意味するのが「マイクロM&A」です。

マイクロM&Aとは

マイクロM&Aとは、さまざまなM&Aの中でも特に小規模なM&Aのことを指しています。

一般にM&Aの場合の規模とは、成約した取引金額(会社・事業の売買価額)のことであり、厳密な定めがあるわけではありませんが、マイクロM&Aは取引金額が1,000万円未満程度のM&Aとされています。

具体的には、個人経営の店舗や個人事業、ごく小規模で運営されている会社などがマイクロM&Aの売却案件です。
マイクロM&Aの取引金額は、一般的なM&Aと比較すれば小規模であることから、個人が買収側として行われることも珍しくありません。

マイクロM&AとスモールM&Aの違い

M&Aの規模感を示す言葉としては、スモールM&Aという言い方もあります。
これも厳密な定めはありませんが、おおむね1億円未満の取引規模となるM&Aをさすことが多いようです。

よって広義では、マイクロM&AもスモールM&Aに含まれます。
より細かく分類する場合、1,000万円~1億円未満の取引規模がスモールM&A、1,000万円未満の取引規模がマイクロM&Aということになります。

マイクロM&Aが増加している背景

2018年に出版された「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」というベストセラー書籍に象徴されるように、近年、マイクロM&Aの成立数は増加傾向にあります。

その主たる理由として考えられる理由は3点です。

経営者の高齢化による事業承継ニーズの増加

現在、日本の中小企業では経営者の高齢化が進んでおり、中小企業庁が公表している資料では、2025年には70歳以上の経営者が245万人に及ぶとされています。

しかし、少子化社会でもある日本では、価値観の多様化なども手伝って、これまでのように経営者の周辺に後継ぎがおらず、後継者不足に悩む中小企業・小規模事業者も多いのが実情です。
この事業承継問題の解決手段として、M&Aによる事業承継が着目されるようになりました。

中小企業庁も、2020年3月に発表した「中小M&Aガイドライン -第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」で、中小企業のM&Aを推進する方針を打ち出しており、増加する事業承継ニーズに比例してマイクロM&Aの数も増加しているのが現状です。

M&Aマッチングサイトの増加

数年前から、インターネット上でM&Aの取引相手を探せるM&Aマッチングサイトが登場し、今では実に数多くのM&Aマッチングサイトがサービスを提供しています。

従前のマイクロM&Aでは、小規模であることからM&A仲介会社が取り扱わないなどの事情があり、売買の意思があってもその取引相手と接触する機会が得られないケースが多くありました。

現在では、ほとんどが登録料無料で使用できるM&Aマッチングサイトの登場により、マイクロM&Aの売却側も買収側も、手軽に自分で取引相手を探せるようになっています。
この能動的に取引相手を探す買い手の行動が、マイクロM&Aの増加につながっていると言えます。

買い手が個人となる事例の増加

ここ最近、政府が進める働き方改革や副業の解禁などの施策から、サラリーマンが副業にチャレンジしやすい環境ができあがりつつあります。

それとほぼ同時期に、前述したM&Aマッチングサイトが登場したことで、サラリーマンを含めた個人が、自己資金で買収可能なマイクロM&A案件を探しやすくなりました。
その結果、マイクロM&Aの買収側となる個人が、以前に比べて大幅に増えたのです。

マイクロM&Aのメリット

ここでは、マイクロM&Aのメリットについて確認しておきましょう。
まず、マイクロM&Aの主なメリットとして下記の3点が挙げられます。

小規模なので個人での実施も十分可能(買収側)

マイクロM&Aは取引金額が1,000万円未満という小規模ですから、企業だけでなく個人が自己資金で買収可能な範囲といえます。

実際、マイクロM&Aの売却案件の中には100万円単位のものもあり、自動車の新車より低価格という手軽さです。

起業を検討していたり、副業として個人事業開始を考えていたりする個人にとって、マイクロM&Aは、打ってつけの案件といえるでしょう。

取引金額が小口なので投資判断が早い(買収側)

例えば、大企業が行う多額の取引金額となるM&Aであれば、その投資額の多さゆえに、M&Aを実施するかどうか検討するために相応の時間を要します。

その点、少額の取引金額ですむマイクロM&Aの場合、投資判断を即決することが可能です。
事業はタイミングが重要であり、また他者に先行できれば市場で優位性を築けます。

スピーディーに投資判断を下せるマイクロM&Aは、その意味でも有効性を持っているといえるでしょう。

廃業するよりも利益を得られる(売却側)

マイクロM&Aにおける売却側の最大のメリットは利益を得られることです。
仮に、後継者難で事業承継ができず廃業する場合と比較してみましょう。

廃業では、一部の資産は売却して現金化が可能ですが、ほとんどのケースでは簿価以上での売却は望めません。
そればかりか、売却できない物については処分コストが発生してしまいます。

一方、マイクロM&Aであれば、資産は時価で換算されることがほとんどで、業績がよければ「のれん代」も加算されるので、売却で利益を得られるのです。

マイクロM&Aのデメリット

残念ながら、マイクロM&Aにもデメリットはあります。
以下の3点が、マイクロM&Aにおける主要なデメリットです。

簿外債務や事前情報の虚偽の見落としリスク(買収側)

マイクロM&Aの売却案件は、どれも小規模な事業であることから、売却側への精密な調査(デューデリジェンス)を行わなくても、内容を把握できると考えがちです。
また、デューデリジェンスを実施する場合、専門家に依頼する必要があり、その費用を抑えたいとも思ってしまうのでしょう。

しかし、その結果、発生し得るリスクが、簿外債務の発現や売却側の虚偽情報の見落としなどです。
これらは、専門家であれば見抜けるものがほとんどですから、余分な費用発生とは考えず、然るべき専門家に依頼してデューデリジェンスを実施しましょう。

属人性の高い案件には要注意(買収側)

小規模事業の場合、経営者自らが現場の担当者として業務を行っていることがほとんどです。
その場合、マイクロM&Aの成立後は、経営者交代と共に有力な担当者が事業から去ることを意味します。

人気のオーナーシェフが経営する飲食店などがいい例でしょう。
シェフの腕や人柄によって固定客がついている場合、シェフが店を去れば客離れは避けられません。

このように属人性が高いマイクロM&A案件の場合は、事業を引き継いでも以前同様の売上・収益を出せるかどうかは未知数です。

想定以上に安価で買われる可能性(売却側)

マイクロM&Aの売却側の場合、自己判断で売却希望額を想定することが多いでしょう。
それに対し、買収側が企業(事業)価値評価やデューデリジェンスを厳密に行った場合、売却側が想定した金額を下回るケースが見られます。

しかし、厳密な検討内容を説明されればそれも納得せざるを得ません。
どんぶり勘定的な売却額を想定していると、売却後の目算が狂うことになります。
適正な売却額を事前に知るためには、M&A仲介業者などの専門家への相談がおすすめです。

個人がマイクロM&Aで起業するのとゼロからの起業では何が違う?

マイクロM&Aとは?小規模な個人M&Aが増加傾向

ここでは、マイクロM&Aで事業を引き継いだ場合とゼロから起業した場合を比較し、どんなところに違いがあるのかを挙げます。

設備、ノウハウ、人材など一挙に取得できる

ゼロから起業するのであれば当然ながら、まず、初期費用を投じて人材や設備などをそろえる必要があります。
また、事業を進めていくには、方針や規定、ノウハウの構築も不可欠です。

マイクロM&Aで売却案件を買収し事業を引き継いだ場合、それら人材・設備・ノウハウなど、事業に必要な環境は全て備わっている状態であるのは、言うまでもありません。

製品やサービスがすでに市場で評価されている

事業を行っていくためには顧客や取引先をつかみ、さらに自社の製品やサービスに一定の評価を得なければなりません。

ゼロからの起業では、文字どおりそれらを1つ1つ獲得し維持していく必要があります。
ところが、マイクロM&Aで事業を引き継いだ場合は、すでに顧客や取引先はいる状態であり、製品やサービスなどへの評価も獲得している状況から事業を始められるのです。

黒字企業であれば買った直後から収益がある

ゼロから起業する場合、どのタイミングから収益が得られるかは正直、断定ができません。

一方、マイクロM&Aで会社や事業を引き継いだケースでは、黒字企業・事業を買収したのであれば、基本的に買収直後から収益を得られます。
ただし、これは前章で指摘した属人性の高い売却案件を除いての話です。

自分の成長と事業規模が乖離する可能性がマイナス面

マイクロM&Aで黒字企業・事業を買収した場合、前項で指摘したとおり当初から収益を上げられるでしょう。
しかし、そこに1つの落とし穴があります。

ゼロから起業した場合、苦労をしながら収益化まで時間がかかったとしても、その間の経験は、経営者として大きな糧になるはずです。
徐々にスタッフや設備を増やしたり事業規模を拡大したりと、自身の成長と比例していきます。

対して、初めてのマイクロM&Aによる買収で黒字企業・事業を手に入れた場合、経営者としての経験を積んでいないため、実態が伴わないまま事業だけが進行していくことあるでしょう。
自身の成長が追い付かなければ、その後の黒字維持や業績向上でつまずく可能性も予想されます。

マイクロM&Aで注意するポイント

最後に、マイクロM&Aを成功させるためのポイントについて、以下の4点をお伝えします。

デューデリジェンスでリスクの洗い出しを徹底する

これはマイクロM&Aだけに限らずM&A全般に言えることですが、簿外債務など売却側に潜在的なリスクがある可能性は否定できません。
買収後それらが顕在化し、せっかくの投資が無駄に終わる事態は避けたいものです。

したがって、大企業のM&Aと同様にマイクロM&Aにおいてもデューデリジェンスを実施して、リスクの把握に努めましょう。
その分、時間と費用はかかりますが、デューデリジェンスはM&Aに必要なプロセスです。

買収成立後のPMIやシナジー効果を考える

すでに何らかの事業を行っていて、事業領域拡張や業績向上のためにマイクロM&Aでの買収を実施する場合は、買収後のPMIやシナジー効果について事前によく検討を行いましょう。

PMI(Post Merger lntegration)とは、M&A後の経営統合プロセスのことです。
複数の事業組織を統合するには、避けては通れません。

シナジー効果とは、複数の企業や事業が統合することによる相乗効果のことです。
買収で得る事業と既存事業との間で、果たしてその効果が発現するかどうか、十分に考察してください。

交わす契約書は専門家のチェックを受ける

昨今、M&Aの契約書も無料のひな形がインターネット上で出回っています。
手軽で便利ですが、ひな形の内容が必ずしも自分たちのマイクロM&A取引内容に合致しているとは限りません。

本来であれば、一から専門家に契約書を起こしてもらうのがベストですが、少予算化のためにひな形を用いるとしても、最終的な内容チェックだけは必ず専門家に依頼しましょう。

契約内容が原因で無用なトラブルが発生しないよう、慎重に契約締結に臨んでください。

マイクロM&Aのノウハウが豊富なアドバイザーに依頼する

M&Aマッチングサイトは手軽に情報収集ができ、費用発生も抑えられて便利です。
しかし、交渉や契約締結などを全て自分たちで進めなければなりません。
安全・確実に、良いマイクロM&A取引をするためには、最終的にM&Aアドバイザーにサポートを依頼するのが得策です。

ただし、M&Aアドバイザーによって、得意なM&Aのタイプ(規模)は異なります。
M&Aは決して画一的ではなく、規模や案件ごとによって留意するべき要点が異なります。
必ず、マイクロM&Aのノウハウが豊富な専門業者のM&Aアドバイザーに依頼するようにしましょう。

まとめ~マイクロM&AもM&A Stationにおまかせ~

マイクロM&Aとは?小規模な個人M&Aが増加傾向

社会の変化に合わせ、個人でも売買が可能なマイクロM&Aは、今後も盛んになっていくでしょう。

ただし、小規模と言えども、マイクロM&Aの取引には注意点が数多くあります。
安全・確実にマイクロM&Aを成約させるためには、専門家にサポートを依頼するのが一番の得策と言えます。

M&A StationおよびBricks&UKグループには、マイクロM&Aに豊富な知識と経験を有するM&Aアドバイザーだけでなく、公認会計士、税理士、社会保険労務士、司法書士なども数多く在籍しています。
国の認定を受けた支援機関(認定経営革新等支援機関)であるBricks&UKだからこそ、資金調達サポートや事業計画書の無料診断などのお手伝いが可能です。

マイクロM&Aをご検討されている場合には、いつでもお気軽にお問い合わせください。M&A Stationでは、随時、無料相談をお受けしています。

セカンドオピニオン承ります

進行中のM&A案件に関するセカンドオピニオンも承っております。
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