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【M&Aでの会社買収】オーナーは組織承継も考えよう

企業はヒト・モノ・カネから成り立っています。
M&Aで株式譲渡や事業用資産の移転などが無事に完了したとしても、複数企業から来る人材をうまくひとつの会社に「統合」させなければ、M&Aが完了した後の経営は成り立ちません。

M&Aにおける最大の難関は株式や資産よりも、むしろM&A実施後に企業価値を向上させるプロセスを意味するPMI(Post Merger Integration)にあると言われます。

そこで本記事は、こうしたPMIの中でも特に人材面での統合において課題となるものは何かについて確認します。

M&A の成否はPMIの巧拙にかかっている

M&Aと言えば、財務面などを詳細に調査するデューデリジェンスや企業価値を評価するバリュエーション、M&Aの条件交渉や株式譲渡契約など取引そのものに意識が向きがちです。
しかし、M&Aで期待されるのは、企業の統合で得られる相乗効果、いわゆるシナジーです。
シナジーを得るためには、M&A実施後に各種の統合プロセスをうまく進行させることが大事なのです。

PMIはM&A実施後の統合プロセス全般を指します。
具体的には、企業理念や経営目標などトップマネジメントレベルで意識を統合するところから、事業拠点や店舗、システム、アプリケーション、業務プロセスや手順書に至るまで、あらゆる階層における「統合」を含みます。

人材面での統合とは?

一口にM&Aと言っても、株式譲渡をしただけで法人格は別のままである場合と、組織再編を伴う場合とではPMIに必要なプロセスは異なります。

ここでは後者のように組織統合が行われることを前提として、人材面における課題を確認してみましょう。

組織風土や文化

人材を「統合」する際には組織風土や文化の違いが思わぬ軋轢を生む場合があります。

組織風土や文化は長年、企業内で受け継がれてきたものです。
働く人たちの心に深く根付いており、簡単には変革できないでしょう。

組織が統合されてからも「あの人は旧A社の出身」、「この人は旧B社の出身」などと、帰属意識が何年たっても抜けないケースはよくある話です。

給与体系

給与体系も統合させ、ある程度一律のものにする必要があります。
出身会社によって給与水準に差があると不公平感につながるでしょう。
同じ職種、同じ職位であれば同一の給与テーブルをもとに給与を支給する必要があります。

ただし、M&Aを機に給与が下がることになれば従業員の士気も下がります。
給与水準の高い方に合わせて全体の給与体系を見直すのが適切です。

M&A実施後の人材流出

M&A実施後も組織の規模を維持するためには、人材が流出しないように注意する必要があります。
特にキーパーソンとなる優秀な人材を引き留めるためにはインセンティブを与える必要もあるでしょう。
人材を引き留めるためのインセンティブをリテンション・ボーナスと呼びます。

国際的なコンサルティング・ファームであるマーサーが2017年10月に公表した『M&Aにおける流出リスク:人材リテンションの理論と実践』 というレポートによると、日本企業の場合、89%と特に高い割合でリテンション・ボーナス を支給していることが示されています。

まとめ~組織の統合をうまく進めるためには~

【M&Aでの会社買収】オーナーは組織承継も考えよう

人材面を含む組織の統合を成功させるためには経営者が強いリーダーシップを発揮することが重要です。
また、PMIのプロセスを通じてリーダーをサポートするアドバイザーを選定することも大事です。

こうした施策をうまく進めるためには、M&Aの前から人事デューデリジェンス などを実施して、対象企業の人員構成、引き留めておくべきキーパーソンを把握し、人件費を算定、労働契約の方向性を検討する必要があります。

M&Aを進めるにあたって、経営目標に向かって一緒に働くこととなる「ヒト」は軽視してはいけない存在です。
他の経営資源であるモノやカネ以上に、人員配置や待遇に関しては特段の配慮、準備が必要となるでしょう。

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