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売買価格はどうやって決まる?

M&Aにおいてもっとも重要な要素の一つに価格交渉があります。
しかし、形があるようでない会社や事業というものの売買ほど値段をつけるのが難しいものはありません。

2016年の年末から2017年の年始にかけ、証券市場や経済界は東芝の巨額損失報道に激震が走りましたが、この巨額損失は、M&Aで会社を買収する際のデューデリジェンスにおいて見過ごされていた資産内容の実態が明るみに出たことで、親会社である東芝の経営危機にもつながっているものです。
日本を代表する巨大企業である東芝でも、M&Aにおいて会社や事業の資産を査定し値段をつけるのは難しいことの具体例といえますが、ではそもそも、M&Aではどのようにして売買価格が組み立てられ、決定されるのでしょうか。

交渉方式で変わる売買価格

M&Aでは売り手が希望売却価格を提示することもあれば、買い手が評価額を提示することもあり、そのどちらをベースに交渉を始めるのか、というのは最初の主導権を握るために大事なポイントになります。

しかし、ただ闇雲に希望額や評価額を提示しても説得力はなく、提示するからにはその根拠がなくては耳を傾けてもらうことも主導権を握ることも困難といえます。
そこで大事になるのが、会社や事業の価額を計算するための計算方式であり理論根拠です。

この理論式には主に、

  • 資産に注目をして価額を算定する「純資産価額方式」
  • 類似会社の市場価値を参考にして価額を算定する「類似会社比準方式」
  • 将来生み出される価値を根拠にして価額を算定する「DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式」

の3つがあります。その会社が持っている資産のみを評価対象とする方式は、会社の持つ利益を生み出す力や、バランスシート上に記載されないような無形の資産が評価の対象にならず、一般に会社や事業の価値を非常に低く見積もることになります。
類似会社の市場価値を参考に対象会社や対象事業の価値を試算する考え方は非常に合理的で、多くの場合売買価格を決める際の中心的な役割を担います。

一方で、上場していない会社のM&Aの場合、上場会社ほど株式に流動性がないことからその分を一定程度ディスカウントするのが通例です。
将来生み出される価値を根拠にして価値を算定する考え方は、理論上非常に合理的です。
今後5年間で3,000万円の利益を生み出すことが見込める会社であれば、当然買収すれば手に入るであろう3,000万円を参考にして売買価額が決定されるべきだからです。
反面、将来入ってくるであろう売上や利益ほどあてにならないものはなく、この方式はその点が大きな欠点と言えるでしょう。

それぞれの交渉方式、どの算定根拠を中心にして、あるいはそれぞれの平均値や中間値を取って売買価額とするか。その最初の算定が、売買価額を決定する大きな要素となります。

デューデリジェンスと企業価値評価

デューデリジェンス(DD)はM&Aの際に対象会社や事業の資産を評価し、事業の状態を監査するものですが、このデューデリジェンスほど売り手にとっては厳しいものはありません。
多くの場合、デューデリジェンスでは会社や事業の評価を下げる方向に監査を行い、そして売り手のオーナーにとっては自社のバランスシートを否定され、事業の将来性にも意見や疑問が付けられる手続きだからです。

このデューデリジェンスの手続きも、大きく3つの視点、すなわち今現在の資産状況、会社や事業の市場価値、会社や事業の将来性、という3つの観点から監査され評価を受けることになります。
資産の状況においては、バランスシート上に記載されている資産についてその実態があるのか、記載されている金額と同等の価値が本当にあるのか、という観点から監査されます。
また一方で、バランスシート上に記載のない負の資産についても厳しくあぶり出されることになります。

この過程では、売掛金の滞留状況や貸付金の利息・元本の回収状況、少額資産の所在確認などでは比較的わかりやすく「ダメ出し」をされ、資産から除外もしくは減額評価を受けることになります。
電話加入権やゴルフ会員権などの、かつては有価証券とみなされていた資産もまず評価の対象になりません。
その他、全く予期していない資産の減額評価を受けてしまうものがあり、例えば加入している厚生年金基金の団体が累積赤字を抱えている際などに、会社全体が減額評価をされてしまうことがあります。

これは、その団体から脱退する際に多くの場合脱退一時金が必要になるためで、厚生年金基金に限らず、所属している団体などを脱退する際に特別な一時金が必要なケースでは、「含み損」があるとみなされるためです。
売り手にとって全く想定外に減額になることも多く、その意味でもM&Aに望む前に簡易な事前デューデリジェンスを受け、減額ポイントは予め回避しておくと良いでしょう。

市場価値や将来性のデューデリジェンスにおいては、主に会社の事業内容の見通しや組織構成が出来ているか、ルールが浸透しており組織として機能しているか、という点が監査の対象になります

将来性の厳しい事業領域に属している場合、過去の実績を大幅にディスカウントして将来を予測されることになり、その分査定額は下がる可能性が高くなると言えるでしょう。
また、社長の属人的な能力や経験で運営されている組織の場合も、同様に過去の実績や売上・利益を生み出す能力を疑問視され、保有資産に注目した査定を受けることになる傾向があると言えます。

のれん代とは

しばしばニュースや新聞などのM&Aで耳にする「のれん代」という言葉ですが、これはM&Aの対象会社や事業について、保有している純資産を上回る部分の評価のことを言います。

例えば、純資産が3,000万円の会社を例にした場合、この会社が持っている資産から負債を引いた額は3,000万円かもしれませんが、その会社が現に事業を営んでいるのであれば、多くの場合売上や利益を生み出す力があります。
なんらかの特別な営業権を持っている、地域で一定のシェアを持っている、有力な顧客をたくさん抱えているなど、単にバランスシート上に現れる資産以上の価値を持っていると言えるでしょう。

つまりM&Aで会社を買収する際には、純資産での評価は多くの場合底値で、その評価プラスで事業価値としてどの程度の上積みをすることができるか、買い手にとっては上積みする価値があると言えるか、これが「のれん代」という考え方です。

具体的な例をあげると、京都で300年の歴史がある老舗のお漬物屋さんを買収しようと思った時、建物や什器備品、現預金など資産の合計から銀行借入や買掛金などの負債を差し引いた純資産が3,000万円とした場合、純資産は3,000万円ですが、300年のお店の歴史と顧客層の厚さ、信頼と言った形にすることができない財産は非常に大きなものがあります。
相乗効果が得られる会社であれば、1億円出すこともいとわないかもしれません。
この場合の、純資産との差額7,000万円がのれん代という考え方です。

老舗のお漬物屋さんの店先にかかっているのれんのように、のれんそのものは無価値であるにも関わらず、そののれんに価値を見出しているかのように評価をすることから、「のれん代」と呼ばれるようになったと言われています。

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