M&Aにおけるマネジメントインタビューとは?意味や流れ、注意点を解説
2023.9.15
2023.9.15
M&Aの流れの中でデューデリジェンスの一環として、マネジメントインタビューが行われます。マネジメントインタビューとは、買収対象企業の代表や経営陣(必要に応じて従業員も)に対して実施されるインタビューのこと。
今回は、マネジメントインタビューについてくわしく説明します。
用語の意味をしっかり確認した上で、流れや注意点を見ていきましょう。
買い手企業にとっても売り手企業にとっても有用な内容になっていますので、ぜひ読んでみてください。
Contents
マネジメントインタビューとは何か確認しましょう。まずはその意味と目的を説明します。
前述のとおり、マネジメントインタビューとは、買収対象企業の代表や経営陣に対して行う質問のことを意味します。
M&Aでは一般的に、買い手企業が売り手企業に対してデューデリジェンスの流れで実施します。デューデリジェンスとは、売り手企業の実態や価値をくわしく調査する手続きのことを指し、その調査では把握しきれなかった情報を、マネジメントインタビューで補うのです。
インタビューでは主に売り手企業の将来性やリスクなど、全般的にヒアリングするのが通常です。
マネジメントインタビューの目的は、M&Aを実施するにあたって事前にリスクを正確に把握することにあります。
経営者から直接話を聞けますから、開示されている情報からは分からない対象会社の問題点やリスクを知ることが可能です。
M&A成立後にリスクがどう影響を与えるか、評価することもできます。
さらにマネジメントインタビューでは経営者の人となりを感じ取ることもできますし、ビジョンやビジネス戦略への考え方も把握できます。信頼関係を構築することにも繋がるでしょう。
また、M&Aでは成立後の経営統合をスムーズに行うために、企業文化や従業員のモラルを把握しておく必要があります。
そうした経営統合に必要な情報を得ることも、マネジメントインタビューの目的の1つです。
実際にM&Aでマネジメントインタビューを行う場合、どのような流れになるのでしょうか。
マネジメントインタビューは、主に以下の流れで行います。
開示されている資料からはわからない情報を得ることが、マネジメントインタビューの目的です。
当たり前のことではありますが、インタビューの機会を有意義なものにするために無駄な時間は極力費やさないことです。開示されている情報から分かるような質問は避けるべきでしょう。
まずは売り手企業の資料をしっかりと読み込んでおく必要があります。資料を見ても十分に把握できない疑問点を明確にしておくことが重要です。
M&Aのマネジメントインタビューでは、事前に対象者を選定します。
誰を選ぶかで得られる情報が変わってくるため、慎重に選定する必要があります。
主に以下の点に注意して選定してください。
多くの場合は、会社の代表者である社長へのインタビューが行われますが、必要に応じて法務、人事、経理など経営の重要部署の担当役員からヒアリングすべきケースもあります。
有益なマネジメントインタビューになるように、事前に質問事項を決めておきましょう。
前述したように、開示されている資料を読み込んで質問を限定することも重要です。
より効率的に質問できるよう、ヒアリングシートを作成するのもいいでしょう。回答を想定し、切り返しや追加質問まで考えておくと安心です。
マネジメントインタビューでは、インタビューのリハーサルをしておくことをおすすめします。余裕が生まれ、冷静に得たい情報を聞き出せますし、話しやすい雰囲気も作ることができます。
どのように質問するとより有効か、確認しながら社内でリハーサルしてください。
ここで、マネジメントインタビューを行うときの注意点を紹介します。
インタビューを実施する買い手側とインタビューを受ける売り手側、それぞれの視点から注意点を見ていきましょう。
インタビューを実施する買い手側は、主に以下の点に注意してください。
それぞれ説明します。
マネジメントインタビューは、録音で残しておくことが大切です。録音を文字起こしして、議事録も作成するようにしましょう。
なお、録音では「質問者と回答者の氏名」「日時」「場所」「同席者」を忘れず記録してください。
後から聞き取れないことのないように、質問と回答が被らないようにすることも大切です。
専門家に同席を依頼するといいでしょう。インタビューの内容によっては、深い知識が必要な場面もでてきます。
専門家が同席していれば問題点やリスクの見落としも防げますし、効果的な追加質問をすることも可能です。専門家が直接インタビューするのも1つの方法です。
マネジメントインタビューでは、相手が回答しやすいように質問することも大切です。
抽象的な質問は、相手も回答し辛いものです。5W1Hをはっきりさせ、より具体的な聞き方をするように心がけましょう。
相手の負担を考えて、同じ質問のくり返しを避ける配慮も必要です。
次に、マネジメントインタビューを受ける売り手側の注意点を紹介します。注意点は以下のとおりです。
売り手側についても、それぞれくわしく説明します。
マネジメントインタビューでは、実は売り手企業も準備が必要です。想定される質問を洗い出し、回答をあらかじめ準備しておくようにしてください。
マネジメントインタビューに非協力的だと、M&A自体がスムーズに進まない可能性もあります。
受け身になるのではなく、売り手企業も積極的な姿勢でインタビューにのぞむ必要があります。
売り手企業は、買い手企業の質問意図を汲み取り明確に回答するようにしましょう。
相手の意図からずれた回答をしてしまうと、リスクの高いM&Aだと判断されるかもしれません。
また、自社の魅力が伝わらず過小評価されてしまう可能性も考えられます。
適切な回答を提供するように意識しましょう。
マネジメントインタビューでは、多くの買い手企業が専門家に同席を依頼します。
売り手企業も専門家に同席を依頼することで、より有益なマネジメントインタビューを行うことができます。
今回はM&Aのマネジメントインタビューについて見てきました。
マネジメントインタビューもそうですが、M&Aでは深い知識が必要です。専門家に依頼するのが安心でしょう。
しかし、専門家といっても得意分野はさまざまですから依頼には注意が必要です。
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この記事の監修M&Aシニアアドバイザー 齊藤 宏介
税理士法人Bricks&UKにて、税務・会計の豊富な経験から事業者の良きパートナーとして活躍。
M&A Stationではアドバイザーの中心的存在として、様々な業種の会社へのM&Aアドバイザリー業務を取り仕切る。
M&Aを成功させるための要点のひとつに「デューデリジェンス」が挙げられます。
買収対象企業の分析・評価のために実行されるもので、ここでリスクを見落としてしまうと後々取り返しがつかない危険性があります。
ただ、調査項目は多岐に渡り高度な専門知識が必要とされ、いざ必要な場面でどこに依頼すればいいか分からない方も少なくないでしょう。
多くのM&A仲介会社の業務範囲は、文字どおり「仲介」まで。デューデリジェンスに関しては、改めて依頼先を探さなければいけません。
M&A Stationを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、グループとして税理士、社会保険労務士、司法書士、M&Aアドバイザーが在籍しており、本来であれば個別に依頼が必要なデューデリジェンスもワンストップ対応が可能です。
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