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M&Aにおけるインサイダー取引とは?規制対象や罰則をくわしく解説

M&Aを行う場合、取り扱いに注意が必要な情報として「インサイダー情報」があります。
実は、局面が進むほど情報を知っている人が多くなり、インサイダー取引が発生しやすくなる傾向にあるのです。

本記事ではインサイダー取引について詳しく説明します。規制対象や実際にあった事例、罰則などを見ていきましょう。

M&Aを検討されている人は、ぜひ読んでおいてください。

インサイダー情報とインサイダー取引

まず、インサイダー情報とインサイダー取引とは何か?について説明します。

インサイダー情報とは

企業には、まだどこにも公表していない未公開の情報というものがあります。
経営者や社員、取引関係者などが持つ企業の未公表の情報をインサイダー情報と呼びます。

例えば、これから予定されている未公表のM&Aや新商品の開発・発売などもインサイダー情報に該当します。

インサイダー取引とは

インサイダー取引とは、会社の関係者等が職務や地位により知り得た未公開情報を使って自己の利益になるよう行う取引のことです。
情報が公表される前に、インサイダー情報を知っている人が有価証券の売買を行うことがインサイダー取引となります。

また有価証券の売買だけでなく、インサイダー情報を人に教えたり取引を進めたりするのもインサイダー取引になります。これは「内部者取引」とも呼ばれています。

仮に、A社に勤める社員が会議で自社の新商品開発の情報を知ったとしましょう。新商品開発が公表されれば、株価が上がると予想されます。
そこで公表前に急いで株式を購入したとすると、これはインサイダー取引に該当することになります。

インサイダー取引は情報の公平な利用の観点から、金融商品取引法によって禁止されているのです。

インサイダー取引が発覚する理由

インサイダー取引が発覚する理由

そもそもなぜインサイダー取引が発覚するのでしょうか。どういうところからインサイダー取引が発覚するのか説明します。

①証券取引等監視委員会による調査

1992年に設置された、証券取引等監視委員会という行政機関があります。
市場への投資者への信頼を保持すること、取引の公正を図ることが機関の目的です。

証券取引等監視委員会の日常的な監視によって発覚するインサイダー取引は数多くあります。

②内部からの通告

内部からの通告によってインサイダー取引が発覚することも少なくありません。

なお内部通告の場合、裁判に発展するケースが見られます。会社側が通告した社員を解雇し、裁判に発展した事例があります。

インサイダー取引の規制対象

ここで、インサイダー取引の規制対象を紹介します。対象者、対象情報、対象行為を確認しておきましょう。

規制の対象者

まず、インサイダー取引の規制対象者について説明します。

規制対象者は、「会社関係者」と「情報受領者」の2つに大きく分かれ、会社関係者には役員や社員、パートといった従業員などが該当します。

退職後1年以内の元役員、社員も対象になる点に注意してください。
さらに法令に基づく権限を有する公務員、取引先、会計士、弁護士に加え3%以上の大株主なども対象です。

情報受領者とは、会社関係者から直接情報を受け取った人のことを指します。これは、社員から直接話を聞いた家族や友人も対象になりますので注意が必要です。

ただし、一次情報受領者(会社関係者などから直接インサイダー情報を受け取った人)が規制対象になるのに対して第二次以降の情報受領者は対象外になります。

M&Aにおけるインサイダー取引の場合、買い手側企業、売り手側企業の役員、社員はもちろん規制の対象です。
また、取引関係者やM&A仲介会社、顧問弁護士、コンサルタントといった情報を得られる人もインサイダー取引の規制対象になります。

規制の対象になる情報

規制の対象になる重要事実は、「決定事実」「発生事実」「決算情報」「バスケット条項」に分類されます。それぞれ説明します。

●決定事実:株式または新株予約権の発行、資本金の減少、自己株式取得、株式分割・株式移転、買収、合併といったM&Aなど

●発生事実:災害や業務上で発生した損害、主要株主の異動など

●決算情報:業績予想など

●バスケット条項:上記以外で運営・業務または財産に関する事実で投資者の投資判断に影響を及ぼすもの

上記のような重要事実を知りながら公表される前に有価証券の売買をすると、インサイダー取引に該当します。

なお公表とは、以下のように定義されています。

  • 2社以上の報道機関に対して情報を公開してから12時間経過したこと
  • 重要事実にかかる事項の記載がある有価証券報告書などが公共の縦覧に供されたこと
  • 上場する金融証券取引所に重要事実を通知し、電磁的方法で公衆の縦覧に供されたこと

実際のインサイダー取引の事例

実際のインサイダー取引の事例

実際に過去にどのようなインサイダー取引が行われたのでしょうか。実際の事例を紹介します。

インサイダー取引の事例1:村上ファンド

事例の1つに、村上ファンドのインサイダー取引があります。
村上ファンドは、2004年11月から2005年1月にかけて「株式会社ニッポン放送」の株式を売買しました。

一方、この売買取引と前後して、当時急成長していた「ライブドア株式会社」がニッポン放送の株式の大量取得を目指しており2005年には株式の公開買付けを発表。ニッポン放送の株価は高騰しました。

この事例では、村上ファンドの代表者がライブドアによる公開買付けの予定を知っていたとして、逮捕されています。

インサイダー取引の事例2:ドンキホーテホールディングス

最近話題になったインサイダー取引として、ドンキホーテホールディングス(現パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の前社長による事例もあります。
情報公表前に知人男性に自社株の購入を勧めたとして、2020年に前社長が逮捕されました。

この事例で注意したいのが、取引を勧めた前社長の方が罪に問われている点です。
インサイダー取引においては売買で儲けたことではなく、株価に影響を与える情報を伝えたことが違法になることもぜひ知っておいてください。

インサイダー取引の罰則

インサイダー取引は金融商品取引法によって規制されており、違反すると厳しい罰則が定められています。
個人のインサイダー取引が認められた場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科せられます。

また、取引によって得た利益も没収されることになっています。法人の場合罰則はさらに厳しくなり、罰金は最大で5億円です。

M&Aにおけるインサイダー取引

M&Aを行うときは、いつも以上にインサイダー取引に注意が必要です。

局面が進むほど未公表の情報を知る関係者が多くなり、インサイダー取引が発生する確率が高くなります。
どの段階でだれに情報を通達していくのか、計画的に行っていかなければなりません。

M&A仲介会社やコンサルタントが入るときは、管理体制がしっかりとれている信頼できる会社に依頼するのがおすすめです。

まとめ

M&Aにおけるインサイダー取引とは?規制対象や罰則をくわしく解説

M&Aではインサイダー取引に注意が必要です。罰則を受けないよう、M&Aを実行する際には管理体制がしっかりとれている信頼できる会社に依頼するのがおすすめです。

当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」なら管理体制もしっかりとれていますから、安心してご相談いただけます。
また、M&Aには専門的な知識と経験が求められます。専門家と言っても得意分野はさまざまなため依頼するときも注意しなければなりません。

Bricks&UKでは、各分野の専門家がチームを組み連携してM&Aをサポートする体制があります。「スムーズで安心できるM&Aを行いたい」というときは、ぜひ一度お問い合わせください!

アドバイザーの永井

この記事の監修M&Aアドバイザー 永井 拓海

税理士法人Bricks&UKにて、会社設立や創業融資などスタートアップの支援を数多く担当。
M&A Stationでは総合的なM&Aのサポートを担当。M&A戦略の策定から資金調達までクライアントのニーズに広く対応する。

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