【記事を読んで「いいね!」と思ったらシェアをお願いいたします!】
M&Aで使われるDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法とは?徹底解説

M&Aで企業価値を評価する際、代表的な手法として「DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法」というものがあります。
計算式がかなり複雑であるため正しく理解できているという方は実は少ないのではないでしょうか。

今回は、M&Aで使われる企業評価の手法のひとつである、DCF法について詳しく解説します。計算方法やメリット、注意点を見ていきましょう。

M&Aで使うDCF法についての基礎知識

まずはDCF法がどのようなものなのか説明します。

DCF法とは

M&Aで会社を売買する場合、適正な取引価格を決めるために企業価値を評価します。
DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法は、代表的な企業価値評価の手法の1つです。

DCF法では、企業が将来生み出すキャッシュフローの現在価値を計算して企業価値を算定します。
割引キャッシュフロー法とも呼ばれる方法で、さまざまな企業価値評価の手法があるなかで最も理論的な方法と言われています。

現在価値とは

DCF法の計算では現在価値を計算すると説明しましたが、それではそもそも現在価値とはなんでしょうか。

現在価値とは、将来受け取る価値を一定の割引率で割り引くことで、今現在の価値を算出することを言います。

具体例で考えてみましょう。
金利1%の場合で、「今すぐもらえる99万円」と「1年後にもらえる100万円」では、どちらの方がお得か計算してみます。
金利1%ですから、1年後の100万円の価値は「100万円÷1.01%=990,099円」ということになり、今すぐの99万円と1年後の100万円では、後者の方がお得だとわかります。

現在価値を活用することで、このように異なる時点のキャッシュフローを比較することが可能になります。

DCF法の計算方法

DCF法の計算方法

DCF法の計算方法を説明します。以下の手順で企業価値を算定してください。

1.将来フリーキャッシュフローを計算する

フリーキャッシュフローとは、企業が自由に使えるお金のことを指します。
DCF法では、将来どれだけフリーキャッシュフローを得られるかを算出する必要があります。

以下の2つの計算式で求めることが可能です。

①営業キャッシュフロー-投資キャッシュフロー
②営業利益×(1-税率)+減価償却費―投資額―運転資金※増加額

※運転資金とは、売上債権と棚卸資産の合計額から仕入債務を引いた金額になります。
フリーキャッシュフローは、上記の計算式をもとに損益計算書や貸借対照表から計算できます。

2.割引率を計算する

将来予想されるキャッシュフローが、現在どれほどの価値に相当するか計算するために、割引率が必要です。DCF法では、割引率に「WACC(加重平均資本コスト)」を使用します。WACCは、以下を平均加重することで算出できます。

①借入で調達したことにより債権者から求められるコスト
②資本で調達したことにより投資家から求められるコスト

➀には借入の金利が該当し、②には株主から要求される利回りが該当します。

3.残存価値を計算する

残存価値とは、将来フリーキャッシュフローを見積もった期間後の永久的な価値のことを指します。

予測したフリーキャッシュフローの次の年のフリーキャッシュフローを計算し、割引率で割ることで算出できます。

残存価値の具体的な計算式は以下のとおりです。

予測最終年度の次年度のフリーキャッシュフロー/割引率

この残存価値は年度ごとに一定割合で成長していくと想定され、その割合を「永久成長率」と言います。

永久成長率を残存価値の計算式にあてはめた場合、以下の計算式になります。

予測最終年度の次年度のフリーキャッシュフロー/(割引率-永久成長率)

4.割引現在価値を計算する

最後に各期のフリーキャッシュフロー、割引率を使って現在価値を算出し、残存価値を合算すると企業価値を算定できます。

(1年目の将来フリーキャッシュフロー)/(1+割引率)+(2年目の将来フリーキャッシュフロー)/(1+割引率)+(3年目の将来フリーキャッシュフロー)/(1+割引率)+…

DCF法のメリット

ここで、DCF法のメリットを紹介します。DCF法には以下のメリットがあります。

メリット1.将来の業績も考慮した評価が可能になる

DCF法では、将来の業績を考慮した評価が可能になります。

例えば設備投資などによって、一時的に赤字になっている場合もあります。DCF法では、そのような事情も汲み取って価値に反映することが可能です。

メリット2.会計手法に影響を受けない

利益や売上の考え方は会計手法によってさまざまです。
そのため、企業価値を算定する際に会計手法が変更されると結果もその都度変わってきます。
経営者が意図的に会計手法を変更することも考えられるでしょう。

DCF法では会計手法に影響を受けません。公正な企業価値を算定することが可能です。

DCF法のデメリット

メリットがある反面、DCF法にはデメリットも存在します。それらについて解説します。

計算の難易度が高い

DCF法は論理的で合理性が高いといわれますが、反面、難易度が高いことがデメリットと言えます。
計算方法に非常に多くのデータが要求され、さまざまな角度からの算定が必要で複雑な計算をしなければなりません。

特に、将来的な利益の発生に伴うリスクを指す「割引率」の計算には多大な手間がかかります。

客観性が低くなる可能性もある

DCF法では将来の予想収益をもとに評価を行うため、将来の事業計画の精度や信頼性が企業価値に影響を与えます。

将来価値の見積もりによって企業価値が大きく左右されるため、客観性が低くなってしまう可能性があります。

利用に適さない場面もある

DCF法は将来のフリーキャッシュフローをもとに計算を行うため、利益を上げられていない場合や、事業を止めた状態で行う清算の場合には不適当とされます。

DCF法の注意点

DCF法の注意点

DCF法で企業価値を算定する場合、いくつか注意点があります。以下の点に注意してください。

注意点1.事業計画の実現性をしっかり検証する

DCF法では、将来フリーキャッシュフローをどのように予想するかで結果が大きく変わってきます。

将来フリーキャッシュフローは事業計画書から計算することになりますので、事業計画の実現性をしっかり検証する必要があります。

注意点2.割引率に幅を持たせる

DCF法では将来キャッシュフローと同様、割引率でも結果が変わります。
そこで、割引率に幅を持たせることをおすすめします。

例えば割引率を10%~15%としてDCF法を使えば、企業価値も1億円~2億円と一定の幅を持たせることが可能です。

注意点3.DCF法が使えない・適さないことも

DCF法が適さない場合があるということも、注意点として知っておいてください。

以下の場合、DCF法は適さないとされています。

  • 事業計画上フリーキャッシュフローがマイナスになっている
  • 事業を停止しているが多額の含み損がある資産を保有している
  • 会社清算することが決まっている

基本的にDCF法は、事業計画がマイナスのときには使えません。
また、会社清算が決まっている場合も、将来キャッシュフローが入ってこないわけですから別の方法を使う必要があります。

具体的には、「修正純資産法」などの方法があげられるでしょう。

なお、DCF法は会社を親族に相続する場合には適さないとされています。
実際に相続税法では、DCF法による企業価値の評価は認められていません。DCF法が適さない場合がある点に注意しましょう。

まとめ~企業価値評価もM&A Stationへ~

M&Aで使われるDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法とは?徹底解説

M&Aにおいて、企業の価値を正しく評価することは非常に重要です。

しかしDCF法は計算式が複雑であり、さまざまな専門用語も理解しなければなりません。
また注意点も多くあり、すべてを把握することは非常に困難です。

実際にM&Aを実行するにあたっては、その道の専門家のアドバイスがあると安心でしょう。
しかし、専門家と言っても得意分野はさまざまなので依頼するには注意が必要です。

当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、税理士はもちろん社会保険労務士、司法書士、行政書士などの専門家がチームを組み、連携し合ってあなたのM&A成功をお手伝いします。

ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください!

アドバイザーの永井

この記事の監修M&Aアドバイザー 永井 拓海

税理士法人Bricks&UKにて、会社設立や創業融資などスタートアップの支援を数多く担当。
M&A Stationでは総合的なM&Aのサポートを担当。M&A戦略の策定から資金調達までクライアントのニーズに広く対応する。

合わせて読みたいおすすめ記事

M&A Stationでお手軽・安心の総合デューデリ

デューデリは「依頼先探し」が重要です

M&Aを成功させるための要点のひとつに「デューデリジェンス」が挙げられます。
買収対象企業の分析・評価のために実行されるもので、ここでリスクを見落としてしまうと後々取り返しがつかない危険性があります。

ただ、調査項目は多岐に渡り高度な専門知識が必要とされ、いざ必要な場面でどこに依頼すればいいか分からない方も少なくないでしょう。
多くのM&A仲介会社の業務範囲は、文字どおり「仲介」まで。デューデリジェンスに関しては、改めて依頼先を探さなければいけません。

M&A Stationを運営する「税理士法人Bricks&UK」では、グループとして税理士、社会保険労務士、司法書士、M&Aアドバイザーが在籍しており、本来であれば個別に依頼が必要なデューデリジェンスもワンストップ対応が可能です。

デューデリジェンスもM&A Stationにおまかせください!

デューデリジェンスもM&A Stationで安心!

【簡単・手軽】LINEから無料相談受付中!

【簡単・手軽】LINEから無料相談受付中!

M&A Stationでは、豊富な案件からスムーズなマッチングを実現。
効率的な資金調達や、財務・税務・ビジネス・法務・人事、あらゆるDD(デューデリジェンス)を自社内で一括で行うなど、 買収や合併後、制度面や業務面でのスピーディな統合を実現し、シナジー効果の獲得に直結するM&Aを支援いたします。

M&Aにまつわる基礎的な疑問やご相談から、専門的なアドバイスが欲しい方など。
随時、ご相談を承っております。お気軽にご利用くださいませ。

今すぐ友だち追加する!
【記事を読んで「いいね!」と思ったらシェアをお願いいたします!】
いますぐ無料相談を申し込む!

記事一覧に戻る