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事業承継におけるMBOスキームの活用

帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」によると、日本の中小企業の後継者不在率は65.1%でした(全国約26万6,000社の調査結果)。
また、経営者が60歳代以上の場合は同39.53%です。
つまり、経営者の引退年齢が近い中小企業のうち約4割で後継者がおらず、事業承継ができない状態にあります。

これは、近年の日本における少子化と価値観の多様化という2つの要因から、これまでの中小企業の事業承継で有力な後継者候補であった、経営者の子供がいない、または後を継がなくなってしまったためです。

本コラムでは、この後継者不足による事業承継問題の1つの解決手段となる、MBOによる社内事業承継について考えます。

MBO(マネジメントバイアウト)とは

MBO(Management Buyout)とは、日本語訳では「経営陣買収」と呼び、会社の経営陣が自社の株主から株式を買い取って、オーナー経営者になることです。

一般にMBOが実施されるのは、主に以下の3つのケースがあります。

グループ会社の独立

企業グループの子会社経営陣が親会社から自社株式を買い取り、オーナー経営者となって独立する際にMBOが用いられます。

上場を廃止し非公開会社化

上場企業の場合、MBOによって経営陣が全ての自社株式を取得すれば上場廃止となり、非公開会社になれます。
これは、上場維持コストの削減、経営意思決定の迅速化・自由化、敵対的買収の防衛などが目的です。

後継者難による事業承継問題の解決

中小企業経営者の親族に後継者がいないときに、社内の役員を後継者とする社内事業承継を実施する際、後継者はMBOで株式を取得します。

なお、従業員が後継者となる社内事業承継もありますが、その場合の表現はEBO(Employee Buyout:従業員が行う企業買収)となります。

自社内にあふれる後継者候補

中小企業の社内事業承継をMBOで実現するためには、後継者側と現経営者(オーナー株主)側に、それぞれ前提条件が伴います。

後継者側の前提条件

まず後継者自身に、「自分が現社長の後を継いでオーナー経営者になる」という確固たる意志が求められます。
オーナー経営者の下で役員をしているのと、自分が全責任を負うトップ(オーナー経営者)になるのとでは、全く立場が異なるのをよく理解した上で覚悟をすることが肝要なのです。

そして、その実現には「現社長から株式を買い取るために自分で資金を用立てる」必要があることを納得し、買い取り資金を工面する意識も持っていなければなりません。

現経営者(オーナー株主)側の前提条件

オーナー経営者に求められるのは、「会社(株式)の売却益よりも、自分がよく知る人物に安心して後継を託すことを優先」する意思です。
会社売却ということなら、第三者にM&Aすることも選択肢になります。

その場合、買い手側は企業であることがほとんであり資金が潤沢ですから、社内後継者に株式を譲渡するよりも売買価額は高額となるでしょう。
つまり、社内事業承継を優先するのであれば、会社の売却益がM&A実施時よりも低くなることを気にしないという決断が必要です。

MBOの目的

事業承継におけるMBOスキームの活用

ここでは、MBOが行われる場合の目的について、あらためて内容を確認します。

一般的にMBO実施の目的として考えられるのは、主に以下の3点です。

新たな資本のもとで経営陣の自由裁量を拡大

会社が多角化経営で複数の事業体制をとっている場合、各事業が均一的な業績にはならず、どうしてもコア事業とノンコア事業とに分かれがちです。

そのような状況で行われる経営判断に、事業の選択と集中があります。
これは、コア事業に経営資源を集中させて経営の効率化・合理化を図るために、ノンコア事業を切り離すという経営戦略です。

ノンコア事業の切り離し方としては、2つの方法があります。

1つは、事業譲渡や会社分割などで外部に売却するM&Aの実施です。
もう1つは社内経営陣の一部が、MBOで事業を譲受して独立する方法です。

ノンコア事業を担当してきた役員としては、会社の多角化経営の中で思ったとおりの采配を振るえなかった面もあるでしょう。

その点、MBOで事業を譲受する資金面の都合さえつけば、自身が経営トップとして自由裁量のもと、事業を運営できるようになるのです。

上場企業の非公開化

上場企業になれば株式市場で資金調達ができ、知名度も上がるなどのメリットがあります。
その反面、上場企業になることで、いくつかの経営上の制約を受けるようになることは否めません。

具体的には、まず、株主の意見・要求に応えながら経営を行う必要があります。
重要な経営判断は、株主総会を開き決議を取らなければなりません。
短期的な利益追求を求める株主も多いため、中長期的な経営戦略が取りづらい場合もあります。

また、上場企業として適宜、情報公開したり、コンプライアンス違反がないように努めたりなど、社会的な責任にも神経を使わなければなりません。
これら一連の対応のために、さらに人員と手間などのコスト負担も相応に発生します。

このようなデメリットとメリットを秤にかけ、デメリットの方が重い場合、MBOによって経営陣が自社株を取得し上場を廃止するのです。

後継者難の解決と有能な後継者確保の両立

冒頭で述べたとおり日本の中小企業において、経営者年齢が60歳代以上の会社の約4割で後継者が定まっていません。
この状態で健康問題などが起こって経営者が引退となれば、会社は廃業するしかなくな、従業員は解雇、路頭に迷うのは必定です。
そのような事態を避けるためには、後継者を定めて事業承継を実現するしかありません。

しかし、これまでの日本の中小企業で主流だった、現社長の親族が後継者となる親族内事業承継の成立数が減ってきてしまっている現状があります。
少子化や価値観の多様化により、後継者となる子供自体がいなかったり、親族の中に後継者になるという意思を持つ人物がいなかったりするようになったことが原因です。

また、仮に親族内に後継者候補がいたとしても、必ずしも経営者としての資質を兼ね備えているとは限りません。

そこで検討されるのが、親族以外を後継者とする事業承継です。
これには、M&Aで第三者に事業承継するケースと、社内の役員・従業員を後継者とする社内事業承継があります。

近年は、M&Aによる事業承継も広く行われるようになってきました。
しかし、1つ懸念事項があります。
全くの第三者に事業承継し自分(現経営者)は経営に携わらなくなるわけですから、今までの経営方針が維持されるかどうかわかりません。
場合によっては、社名が変更されたり、買い手側の企業に吸収合併されて消滅してしまう可能性すらあります。

そう考えると、自分がよく知っていて信頼もおける会社の役員が後継者になれば、安心して事業承継できます。
役員であれば、経営スキルにも不安はありません。
その際、役員を後継者とする事業承継で用いられるのが、現社長の所有する株式を取得するためのMBOなのです。

MBOにおける問題点と解決策

現社長と役員(後継者)の意思が固まれば、あと必要なのは後継者が用意するMBOの資金です。後継者の資金負担を軽減したり、資金調達がしやすくなったりする有効な方法が2種類あります。

現社長への退職金支給と組み合わせて買取資金を低減

現社長に高額の退職金を支給すれば、その分、会社の株式価値が下がるので後継者が支払う株式取得費が安くすみます。
端的に言えば、退職金の分だけ株式譲渡価額を引き下げてもらうイメージです。

また、会社として、退職金支給は損金算入できるので節税効果が期待できます。
さらに、現社長にとっても、支給された退職金は課税上の優遇措置が得られるため、全額が株式譲渡所得であった場合と比べると納税額を低くできるのです。

退職金は税法上、退職所得といい控除や税率、税額計算方法の特例が設けられています。
他の所得とは切り離して単独で税額を算出するため、結果的に株式譲渡所得の税額よりも低い税額となり、現社長にもメリットがあるのです。

持株会社の活用

後継者が手持ちの自己資金だけでは足りない場合、金融機関から融資を受けるなどの資金調達が必要です。
この資金調達に際し、後継者個人が融資申し込みをするよりも、持株会社を設立し法人として融資申し込みをする方が、手続きはスムーズに進みます。

具体的には後継者が新たに設立した会社が、株式取得に必要な資金を金融機関から借り入れ、法人として現社長に対価を支払って株式を取得するという流れです。

この方法のメリットは、まず個人ではなく法人としての借り入れなので、後継者の精神的負担は軽減されます。
また、借入金の金利は個人では節税効果などありませんが、法人の場合は損金算入できて節税につながる点がメリットです。

さらに、個人で融資を受けた場合は、返済のために報酬を増額するケースがありますが、その場合、社会保険料や所得税が高騰化してしまいます。
法人で融資を受ければ、そのような事態になることもありません。

MBO資金の調達方法

前章では、MBO資金不足の場合の資金調達方法として、金融機関からの融資に絞って説明しましたが、それ以外にも以下の2つの方法があります。

投資ファンドからの出資を受ける

設立した持株会社に対し、投資ファンドから出資を受けそれをMBOの資金に充てます。
会社や事業の将来性・成長性が評価されれば、十分、可能性がある方法です。

ただし、出資を受けた金額分の経営権をファンドが持つことになります。

段階的に株式を買い取る

ひとまず買い取る株式数を全体の3分の2までとすれば、最初に必要な資金額を抑えることが可能です。
残りの株式は、資金調達状況に合わせて段階的に買い取ります。

全体の3分の2が必要なのは、株主総会での特別決議の採決に必要な比率になるからです。

まとめ

事業承継におけるMBOスキームの活用

親族に後継者がいない中小企業にとって、MBOは有力な事業承継手段です。
ただし、MBOの実施にあたっては注意点もありますから、慎重を期すためには信頼できる専門家に相談するのがよいでしょう。

M&A Stationなら、国の認定を受けた認定経営革新等支援機関である「税理士法人Bricks&UK」グループだからこそ、M&AだけでなくMBOでの事業承継や資金調達サポートなどのお手伝いが可能です。

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