上場企業の区分は?基準や旧区分、上場するメリットまで徹底解説
2023.12.06
2023.12.06
2022年4月、東京証券取引所(以下、東証)において上場区分の見直しが行われました。
上場区分の変更により、企業は株式の流動性を高めるため、株式の売却や増資などの施策が必要になりました。
具体的に再編前と後で何が変わったのでしょうか?
今回は再編された上場区分について解説いたします。上場基準や旧区分、上場するメリットもあわせて見ていきましょう。
Contents
現在、東証の上場区分は3つに分かれています。3つの区分を紹介します。
プライム市場は、東証の上場区分のなかで一番位置が高い市場です。
東証はプライム市場のコンセプトとして、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業の向上にコミットする企業向けの市場」と発表しています。
言い換えると、プライム市場とは「株式の流動性が高く経営を監視する高水準の仕組みを確保した企業」「継続した成長に努めている企業」を対象とした市場ということになります。
プライム市場は他の市場よりも厳しい上場条件が設けられおり、基準をクリアすることは社会的な信頼性を高めることにつながります。
スタンダード市場は、主に国内向けの市場になります。日本経済の中核として、東証の上場区分のうち中間に位置する市場です。
旧上場区分からは、プライム市場の基準に満たなかった東証一部企業や東証二部、ジャスダック(スタンダード)からの移行が目立っています。
こちらは前述のプライム市場と比較するとそこまで厳しいハードルを設けていませんが、安定した収益基盤と財政状態を備え、かつそれを維持する必要があることから一定の社会的信用が担保されると言えます。
東証の旧区分については、後ほど詳しく説明します。
スタートアップや今後の成長可能性が高い企業が対象になるのがグロース市場です。
比較的上場基準が緩く、参入しやすいのが特徴で、こちらに上場することで成長性のある企業であることを周知でき、ある程度のリスクを許容できる投資家から資金調達がしやすくなると言えます。
旧区分のマザーズやジャスダック(グロース)に上場していた企業から主に構成されています。
紹介した3つの区分には、それぞれ上場するための基準があります。上場基準を説明します。
分かりやすく表で見ていきましょう。以下のとおりです。
プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 | |
流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
流通株式数 | 20,000単位以上 | 2,000単位以上 | 1,000単位以上 |
時価総額 | 250億円以上 | – | – |
株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
流通株式比率 | 35%以上 | 25%以上 | 25%以上 |
収益基盤 | 最近2年間の利益合計が25億円以上 売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上 | 最近1年間の利益合計が1億円以上 | – |
財政状態 | 純資産50億円以上 | 純資産が正であること | – |
ガバナンス | 投資家との建設的な対話の促進の観点から、安定株主が株主総会における特別決議可決のため 必要な水準(3分の2)を占めることのない公開性を求める | 上場企業として最低限の公開性を求める | 上場企業として最低限の公開性を求める |
ここまで、現在の東証の上場区分と上場基準を説明してきました。
前述したように、現在はプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に区分されているわけですが、この3つに分けられたのは見直しが行われた2022年4月からです。
それ以前の区分についても確認しておきましょう。
東証の旧上場区分は、以下のとおりです。
それぞれ説明します。
東証一部は旧上場区分のなかで最も上位に位置します。高い流動性があり、安定して利益を得る基盤がある企業のための市場です。
流通株式数2万単位以上や、流通株式時価総額250億円以上などの上場基準がありました。
東証一部のすぐ下の市場として東証二部があります。
一定の流動性があり、安定した利益基盤を持つ企業のための市場です。
流通株式数2,000単位以上、流通株式時価総額10億円以上などの上場基準がありますが、東証一部よりは緩い基準になっています。
ジャスダックは成長性のある中小企業が主に上場している市場です。
スタンダードとグロースの二部構成になっている特徴があります。
ジャスダック・スタンダードは、一定の規模と安定した実績を持つ成長企業を対象とした市場です。東証二部と上場基準は変わりません。
ジャスダック・グロースは、成長性の高い新興企業(ベンチャー企業)を中心とした市場です。
少ない上場数でしたが、ユニークなビジネスモデルの企業が上場していました。上場基準はスタンダードより緩くなっています。
新興企業を対象としている市場にマザーズもあります。
流通株式数1,000単位以上、流通株式時価総額5億円などが上場基準です。
成長性を重視している市場で、ハイリスクハイリターンの市場とされています。
そもそもなぜ区分の見直しが行われたのでしょうか?
東証には2013年に大阪証券取引所と経営統合したことを背景に、各区分のコンセプトが曖昧であるという課題がありました。
それぞれの当時のコンセプトは以下のとおりです。
東証一部 | 流動性の高い大企業 |
東証二部 | 実績のある中小企業 |
ジャスダック | 実績のある中小企業・新興企業 |
マザーズ | 新興企業 |
東証二部とジャスダック、マザーズの位置づけが重複していましたし、東証一部についても曖昧なコンセプトでした。
わかりにくく、投資家の利便性の低さが言われていたのです。
また、東証一部への市場変更の基準が、新規上場の基準と比べて緩かったことも問題とされていました。
東証一部に新規上場するよりもまずはマザーズ上場を果たしてその後変更する方が、一部に上場しやすい仕組みです。
そのため、上場後も時価総額などの基準を維持する動機付けになっておらず、持続的な企業の向上につながっていませんでした。
これらの課題を解決するために、2022年4月に区分再編が行われたというわけです。
企業が上場すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。上場するメリットを紹介します。
上場すると、発行した株式を投資家に直接買ってもらうことができますから、資金調達しやすくなります。
また、社会的な信頼が高まることからも、資金調達しやすくなるでしょう。
特に厳しい基準があるプライム市場なら、その基準をクリアしていることで信頼性を高められます。
投資家は常に新規上場企業に注目しています。
上場すれば、企業の認知を広げることができるでしょう。リスク許容度の高い投資家からの資金調達も可能になります。
上場基準をクリアするには、社内体制を整える必要があります。
また上場を維持するには、一定の水準を保たなければなりません。つまり上場は、社内体制が整っていることの証明になり得るのです。
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この記事の監修M&Aシニアアドバイザー 齊藤 宏介
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