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【M&Aの注意点】正しいアドバイザーの選び方

一口にM&Aといっても、株式譲渡や事業譲渡、会社分割に合併など実に様々なスキーム(手法)があります。

そして、取引相手探しに始まり、実際の交渉やそれぞれのプロセスで必要となる各種資料の作成、交渉がまとまれば契約書の準備と内容チェック、デューデリジェンス(売却企業の精密監査)への対応、クロージングの実施など、いずれも専門的な知識や経験が必要とされるプロセスばかりです。

これらをM&Aに不慣れな中小企業が、経営者や自社スタッフだけで乗り切るのは、率直にいって難しいでしょう。
その場合、せっかくM&A実施の決断をしても思うような結果が得られないかもしれません。

また、M&A実施のために手間や時間が取られることによって、日常業務に支障が出る可能性もあります。
そこで、万難を排しM&Aを実現させるための有効な手段が、M&Aの専門家にサポートを依頼することです。

自社にとって適切なM&Aスキームの選定、最良な取引相手探し、できるだけ希望条件でまとめるための交渉、各種専門資料や契約書の作成・チェック、デューデリジェンスへの対応など、これらを任せられ、適宜、アドバイスを得られる専門家の存在は、M&Aの成約に不可欠といっても過言ではありません。

M&Aの専門家にサポートを依頼すれば手数料という出費は伴いますが、それに見合う結果と満足感は十分に得られるはずです。

M&Aサポートの依頼先にはどこがある?

M&Aサポートの依頼先候補としては複数の専門家があり、どれにするか選定に迷うかもしれません。
ここでは、代表的な以下4種のM&Aの専門家について、その概要を掲示します。

  • 銀行などの金融機関
  • M&A仲介会社
  • M&Aアドバイザー
  • 税理士

銀行などの金融機関

銀行をはじめとする多くの金融機関では、顧客同士のマッチングを中心にM&Aのサポートを行っています。
中小企業にとって取引金融機関は、融資取引などを通して経営相談を行っている身近な存在です。
その経営相談の延長上のものとして、銀行もM&Aのサポートを行うようになりました。

ただし、M&Aの専門部門や専任のスタッフを備えている金融機関は、メガバンクや外資系など大手に限られます。
また、大手銀行の場合、取り扱うM&A案件は上場企業の大型案件である傾向が強く、大手銀行以外の金融機関では、M&Aの相談には乗るものの実際にM&Aを進める段階では、提携しているM&A仲介会社を紹介する方法が取られています。

M&A仲介会社

M&Aサポート業務を専業としているのが、M&A仲介会社です。
現在の日本では年々、M&Aが活発化しており、その影響でM&A仲介会社も急増しています。
そのため、M&A仲介会社のなかには、経験や実績が少ないケースもあり、選定には注意が必要です。

また、提供されるサポート内容や手数料体系も各社によってバラバラなので、選定時にはそれらの条件もよく確認しなければなりません。

M&Aの各プロセスでは、税務・財務・法務・労務などの専門的知識が必要になる場面があります。
M&A仲介会社は、確かにM&Aサポートの専門業者ですが、必ずしも税務・財務・法務・労務など士業の専門家ではありません。
士業の専門家が在籍している、あるいは士業との提携ができているM&A仲介会社なのかという点も、選定時の注意事項になります。

M&Aアドバイザー

M&Aアドバイザーとは、M&Aのサポート業務を行う専門家の総称です。
一個人に対して用いられると同時に、会社に対しても用いられます。

また、M&Aコンサルタント、ファイナンシャルアドバイザー(FA)などという呼称もありますが、基本的にはM&Aアドバイザーと同義です。

M&Aアドバイザーは税理士や弁護士などのような士業とは違って、国家資格制度はないため極論ですが誰でも名乗れます。
したがって、選定時にM&Aアドバイザーの実力を見極めるには、過去の実績を確認するのが有効な方法です。

また、民間機関が個人向けに実施しているM&Aアドバイザー資格は複数ありますので、個人の場合、その有無も1つのバロメーターにはなります。

税理士

中小企業にとって、税務・財務の相談や確定申告代行などを依頼する税理士は、経営の相談相手として最も身近な存在と言えます。
そして、昨今のM&A活発化に伴い、通常の経営相談から高じて、税理士にM&Aの相談をすることも増えているようです。

そのような状況を受け、税理士の側でも本格的にM&Aサポート業務を行う事務所も増えてきました。
ただし、税理士は税務・財務の専門家ではありますが、M&Aの現場ではそれ以外の専門的な経験や知識が必要となる場面もあります。

したがって、税理士にM&Aサポートを依頼する場合には、事前にM&Aの実績について確認しましょう。
また、弁護士など税理士以外の士業の専門家と連携が取れる体制にあるかどうかも、選定時のキーポイントになります。

M&Aアドバイザーの主な業務内容

【M&Aの注意点】正しいアドバイザーの選び方

具体的なM&Aアドバイザーの業務は、主として以下のような内容です。
それぞれの概要を掲示します。

  • 売却条件の決定
  • 売却企業の簡易的な企業価値評価
  • 契約書や様々な資料の作成
  • 買い手企業の紹介やサポート業務など
  • 買い手企業の提案
  • 買い手企業との交渉

売却条件の決定

ひと言でM&Aといっても、会社を丸ごと売却する株式譲渡とするか、会社組織は手元に残し一部の事業・資産を売却する事業譲渡とするのかなど、経営者の考えや会社の状況によって適切なM&Aのスキームは変わります。

また、従業員や経営陣の処遇、屋号の取り扱い、そのほかにもM&Aに際して付随させたい条件も色々とあるものです。
その際に、M&Aアドバイザーは経営者の希望をヒアリングし、その情報を整理して実情に合った現実的な売却条件を見定めアドバイスするのが、M&Aサポート業務の第一歩となります。

売却企業の簡易的な企業価値評価

売却側の中小企業にとって最大の関心事は、いくらで会社や事業が売れるのかということでしょう。
M&Aの現場では、その目安となる数字を算定することを企業価値評価(バリュエーション)と呼びます。

非上場である中小企業の場合、上場企業のような株価の市場価格がありません。
そこで、専門的な計算手法を用いて、中小企業の企業価値評価を行います。

この企業価値評価の算定方法には複数の手法があり、詳細な調査を要するものから簡易的に算定できるものまで様々です。
M&Aの初期段階では、そのうちの簡易的な算定方法を用いて、M&Aアドバイザーが依頼企業の企業価値評価を行います。

契約書や様々な資料の作成

M&Aの各プロセスでは以下のように、様々な資料や複数の契約書が必要となります。

  • ノンネームシート(買収候補に提示する匿名の企業概要書)
  • 会社案内
  • 概要書
  • 株主名簿
  • 役員・従業員名簿
  • 組織図
  • 月次試算表
  • 固定資産台帳
  • 賃金台帳
  • 就業規則などの規程類
  • 取引先資料
  • 事業の詳細説明資料
  • デューデリジェンス向け資料
  • 秘密保持契約書
  • 基本合意書
  • 最終契約書

すでにできあがっている資料があれば問題ありませんが、ないものはイチから作成が必要です。
また、最重要である契約書についても、M&Aアドバイザーであれば雛形を持っているでしょうし、相手側が作成するのであれば、そのチェックにも手慣れているので、書類作成についても安心して任せることができます。

買い手企業の紹介やサポート業務など

M&A取引の第一歩は、交渉相手探しです。
仮に自社で相手探しをするとなると、多大なる苦労をするか、あるいは全く見つからずに終わるかのどちらかでしょう。

その点、専門業者であるM&Aアドバイザーの場合、買い手候補企業とのネットワークが形成されていますから、売り手の希望に合致しそうな相手を時間をかけずに見つけることが可能です。

また、M&Aを実施するうえで、ほとんどM&A経験のない中小企業にとっては、戸惑いや迷い、そして、どうしていいか判断が行いづらい場面も多々あるでしょう。
そのような際に、専門的な知識と経験を持つM&Aアドバイザーからのアドバイスや、そのサポート業務は、とても有用で役立つものです。

買い手企業の提案

M&Aアドバイザーとの契約には、2つのタイプがあります。

ひとつは「M&Aアドバイザリー契約」といって、これはM&Aアドバイザーが売り手か買い手のどちらか一方とのみ契約し、M&Aサポートを行うものです。
もうひとつは「M&A仲介契約」というもので、こちらはM&Aアドバイザーが売り手・買い手双方と契約し、両者を仲介するM&Aサポートを行います。

それぞれメリット・デメリットはありますが、どちらの場合においてもM&Aアドバイザーは、売り手の希望が極力、実現できそうな相手を複数探し出し、その提案を行うのが常です。

買い手企業との交渉

M&Aアドバイザリー契約・M&A仲介契約のどちらであったとしても、基本的に売り手・買い手が直接、条件交渉を行うようなことはほとんどありません。

一般にM&Aの具体的な交渉は、サポート業務の一環としてM&Aアドバイザーが行います。
ただし、契約のタイプによってM&Aアドバイザーの立ち位置が異なるため、交渉の際のスタンスも変わることは覚えておきましょう。

M&Aアドバイザリー契約の場合、M&Aアドバイザーは依頼されている企業が最大限の利益を獲得するよう交渉を行うというメリットがあります。
しかし、そのために交渉が長引く、場合によっては破談する可能性のあることがデメリットです。

M&A仲介契約の場合は、M&Aアドバイザーは両者の間に入って成約が実現するような動きを取るため、M&Aが早く実現しやすいメリットがあります。
その反面として、条件に妥協を求められやすいことがデメリットと言えます。

M&Aアドバイザーの選定ポイントや注意点

ここでは、実際にM&Aアドバイザーを選定する際のポイントや注意点について、以下の3点に着目して説明します。

  • 得意な業種や会社規模を確認する
  • M&A以外の選択肢を提供してくれるか
  • 相性が合うかどうか

得意な業種や会社規模を確認する

M&Aアドバイザーそれぞれにおいて、過去の実績は様々です。
そして、その内容には自然と傾向があります。

つまり、M&Aアドバイザーによって、得意とする業種や会社の規模が違うということです。
したがって、M&Aアドバイザーを選定する際には、以下の2点はとても重要になります。

  • 自社と同業種のM&A案件実績はあるか
  • 自社と同規模の会社のM&A担当実績はあるか

その点、たとえばBricks&UKのように、個人のM&Aアドバイザーが複数、在籍している会社であれば個々に実績は異なりますから、自社に適した担当者とめぐり会える可能性は高まります。

M&A以外の選択肢を提供してくれるか

M&Aは経営戦略の1つです。
経営戦略はそれぞれの会社によって異なるものであり、また、その状況やタイミングによって最適な戦略も違ってきます。
したがって、経営者の目的や理由・原因次第では、手段としてM&A以外の選択肢が存在する場合もあるでしょう。

M&Aは大きな経営判断ですから、他の戦略も検討した上で最良の選択として決断したいものです。
しかし、例えばM&A仲介会社に相談を持ち掛けた場合、M&A仲介会社はM&A専業ですから、M&A以外のほかの選択肢は提示しようがありません。

その点、事業経営総合サポート会社であれば、M&Aのご相談に対応しながらその他の経営戦略や経営サポートのご提案が可能です。

相性が合うかどうか

パーソナルな人間関係だけでなく、ビジネスにおいても相性は極めて重要です。

特に、大きな経営判断であるM&Aのサポートを依頼する場合、M&Aアドバイザーのポリシーや姿勢、体制や対応の仕方などについて、共感や好感が持てる相手でないと、M&Aはうまく捗らないかもしれません。
共感や好感が持てる相性の良いM&Aアドバイザーであれば、M&Aを決断するに至った経営者の気持ちや思いをくみ取ってサポート対応してくれるはずです。

これについては自身の感性による判断が重要になりますが、一例としては、Bricks&UKのように顧問契約社数2,100社以上などの実績が1つの目安になります。

M&Aアドバイザー選定の際の手順

M&Aアドバイザー選定時には、以下のような手順を踏むのが一般的です。
それぞれの手順について、順を追って説明します。

STEP.1 候補先をリストアップする
STEP.2 ホームページなどを確認し共感が得られる会社を探す
STEP.3 リストアップした会社担当者と面談をする
STEP.4 依頼するM&Aアドバイザーを決定し契約する

STEP.1 候補先をリストアップする

M&AアドバイザーおよびM&Aサポートを行う会社・機関は実にたくさんあります。
どこに依頼するか決めるためには、まず候補となるM&Aアドバイザーの選定が必要です。

その際に目安とすべき条件には、以下のようなものがあります。

  • 自社と同規模の会社のM&A実績の有無(会社の規模という観点とM&Aの規模という2種の観点がある)
  • 自社と同業種のM&A実績の有無(特定業種に特化しているM&Aアドバイザーもある)
  • 対応しているエリア(全国対応型と地域特化型がある)
  • M&Aアドバイザー自体の会社の規模
  • M&A専業タイプか総合経営サポートタイプか
  • 士業の専門家が在籍しているかどうか

インターネットで検索すれば情報はすぐに得られますから、条件を明確にして候補を選定しましょう。

STEP.2 ホームページなどを確認し共感が得られる会社を探す

表面上の条件からM&Aアドバイザー候補先を選定したら、さらに深い情報を得て絞り込みを行います。
候補先が公開しているホームページの情報を大いに活用しましょう。

どのM&Aアドバイザーの場合も、サポート業務を行う体制や指針、具体的なサポート内容や手数料システムなどについて情報を開示しているはずです。
それらをよく読み込み、相互に比較しながら共感・好感が持てる候補に絞り込みます。

STEP.3 リストアップした会社の担当者と面談をする

ほとんどのM&Aアドバイザーでは、無料相談を受けつけています。
その際、メールや電話での相談で済ませず、アポイントを取って直接、担当者と会って話をしましょう。

ホームページなどから得た情報で感じた共感や好感が確かなものかどうか確認するには、担当者との面談が一番の方法です。
また、仮にそのM&Aアドバイザーに業務依頼する場合、相談時に対応したスタッフが担当者となる可能性が高いので、担当者個人との相性も確かめておきましょう。

STEP.4 依頼するM&Aアドバイザーを決定し契約する

担当者と実際に会い、話すことで自ずから依頼すべき会社は絞れるはずです。
もし、決定に迷う場合には、M&Aアドバイザーの手数料体系に着目して決めるのも1つの手段になります。

M&Aアドバイザーによって、手数料体系は様々です。
具体的には、相談段階から費用発生する会社もあれば、業務委託契約時に「着手金」や「月額手数料(リテイナーフィー)」が発生したり、基本合意書締結時に「中間手数料」が請求されたりするケースもあります。

昨今は、M&Aが成約したときのみ手数料を請求する「成功報酬制」の会社が増えており、そのような手数料システムの方が、出費の資金繰りがいらないためおすすめです。

まとめ

【M&Aの注意点】正しいアドバイザーの選び方

M&Aを実施するにあたって、専門家であるM&Aアドバイザーに業務を依頼することは不可欠といって過言はありません。
M&Aアドバイザーの選定は、M&Aそのものの成否に直結します。
安易に依頼先を決めることなく、慎重に検討して選定しましょう。

税理士法人Bricks&UKが運営するM&A Stationでは、豊富なM&Aの知識と経験を有するアドバイザーが多数、在籍しています。
また、グループ内には公認会計士、税理士、社労士、司法書士などが多数、在籍しており、万全な体制でM&Aのサポートが可能です。

M&Aまでの経営サポート、M&A後のPMI(Post Merger Integration=経営統合プロセス)や各種サポートもお引き受けできるという強みもあります。
M&A・事業承継をご検討される際には、M&A Stationの無料相談まで、お気軽にご連絡ください。

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