M&Aの活用:成長をスピードアップ!
2021.4.26
2021.4.26
団塊の世代の高齢化が進み、後継者不足から廃業が急増している昨今。
これは、企業が長年に渡り積み上げてきた様々なノウハウや技術が失われる事を意味していますが、一方で、次代を担う意欲ある経営者にとっては有形・無形の資産を受け継ぎ、事業を拡大させる選択肢に恵まれた時期であるとも言えます。
数十年に渡り積み上げられてきた事業には、金額に代えがたい非常に価値のある資産が多く存在します。
そして、このような引退ラッシュは間もなく終わりを告げることになるでしょう。
事業の成長をスピードアップさせる手段として、M&Aを通じた事業の買収は、今まさに取り組むべき価値のある施策と言えます。
事業の成長をスピードアップさせる手段としてM&Aを考える場合、承継しようとする事業について目に見えることは僅かで、多くのことはデータから読み取り、または限られた経営者面談や幹部・従業員面談から判断し、短期間でその対価を見極める必要があります。
譲渡側の自己評価と客観的な査定は乖離していることが多く、理屈をきれいにまとめれば取引(取引)が成立するというわけでもありません。
さらに、本当に難しいのは取引を成立させることそのものより、成立後に思い描いた通りの買収効果を得て事業を成長させることですので、そこまでの道のりは決して容易なことではないと言えます。
また、事業の買収は経営者の歴史を受け継ぎ、そしてそれに対価を付けて引き継ぐことを意味します。
経営者と従業員が築き上げてきた組織を受け継ぐことを志す以上、人の想いに対する敬意がなければ事業の買収はするべきではありません。
定量的な計算に偏り事業を買収しても、スモールM&Aの場合、うまくいかないことがほとんどです。
ともすれば精神論のように聞こえるかもしれませんが、事業の買収は難しいかと問われれば、多くの取引を経験して申し上げられることは一つです。
法的な要件を満たし、テクニカルな意味で事業買収を成立させることは容易なことと言えます。
しかし、買収側、売却側、仲介事業者の三者が「取り組んで良かった」と心から思える取引にすることは、決して簡単なことではないと言えるでしょう。
成長をスピードアップさせる手段としてM&Aの活用を考える場合、大きく分けて同業他社の買収と周辺事業の買収の二通りがあると言えます。
同業他社の買収の場合、2016年現在でのホットな例を挙げるとカラオケボックスの経営で有名なシダックスの取り組みなどはその典型と言えるでしょうか。
シダックスは元々、事業所などに給食事業を展開する産業給食の会社が母体となって生まれ成長しました。
給食を母体にした企業であることからレストランカラオケを自社の強みとし全国にカラオケボックスを展開していましたが、カラオケの楽しみ方の変化でこのような業態は逆に足枷となり、カラオケボックス事業を同業他社に売却し事業の再編を試みているのは報じられている通りです。
しかしその一方で、シダックスが2000年代に入り、本業回帰を期して給食事業の買収を強化し、産業給食や病院給食事業の規模を拡大していることは余り知られていません。
給食事業は安定的な売上を期すことができますが、多くの場合人を派遣することが利益の源泉になり、規模を拡大し薄利で多売を求めなければ管理費がかさみペイしない事業形態であることから、このような施策を推し進めていると言えるでしょう。
このように、本業の収益構造を理解し、同業他社を買収して売上と利益を積み上げることは、事業買収による成長をスピードアップさせる一つの大きな事例と言えます。
別のアプローチとして、周辺事業を買収することで事業の成長をスピードアップさせる方法があります。
これは、かつての加ト吉(現・テーブルマーク)がその典型例と言えるでしょう。
加ト吉は元々、水産加工業を基に冷凍食品事業で成長した会社ですが、冷凍食品事業で強みを確立すると、販路となり得る外食産業を買収または出資し関係を強化する施策を多く打ち、成長をスピードアップさせました。
2004年には経営不振に陥っていたカネボウのカップ麺事業を引き継ぎ製麺技術の横展開をするなど、意欲的なM&Aを繰り返し、あるいは資本事業提携を行うことで極めて短期間のうちに事業を急拡大させることに成功させました。
これらいずれも、事業の買収を通じて成長をスピードアップさせることを意図した典型的な事例と言う事ができるでしょう。
大企業のわかりやすい事例を挙げご説明をしましたが、スモールM&Aでもその構図に違いはありません。
アクセスのあるWebサイトを買い取ることも、居抜きで飲食店を受け継ぐことも、大きくは事業買収の一つの手段であり事業を成長させる方向性の考え方は同じことと言えます。
では、事業の買収を通じて成長をスピードアップさせることを考えた場合、具体的にどのような方法があるのでしょうか?
一番わかり易い方法は、買収予定先が株式会社であれば全株式を買い取り、経営権を譲り受ける方法と言えるでしょう。
経営者に個人資産がある場合、既存事業の子会社とせず直接株式を買い取りオーナーとなる事も考えられますが、既存事業との関連が薄く、別事業として経営したい意向がある場合などはこのような形態を取る経営者が多く見られます。
いずれにしても、必要な手続きなどから考えもっともわかり易く、また簡素に実施できる事業の買収方法と言えます。
また、34%あるいは51%など、意味のある持ち株比率で出資することによって資本・事業提携を行う方法も、事業を効率的に成長させる大きな手段となり得るでしょう。
前述の加ト吉なども多く用いた手法で、100%の持ち株比率にすると100%の経営責任を負うことになるため、経営に影響力を与えられる程度に出資し、自社製品の販路を確保するに留めるという考え方は、投資と効率を両立させる有効な手段と言えます。
なお、一定の条件の下では特定の事業のみを切り出し、事業そのものを直接譲り受けるという方法が有効なこともありますが、手続きが煩雑になる上、譲渡側の立場で考えると、安易な事業の譲渡は債権者との関係で大きなトラブルに発展する可能性もあることから、慎重に検討する必要がある方式です。
事業の買収をどの方式で進めることが最も効率的なのか、判断する要素は多岐にわたるため一般論で申し上げることは困難と言えます。
買収の目的を明確にしてから手法論を考えることが望ましいことも多いので、不明なことがあればまずはM&A Stationまでお気軽にお問い合わせ下さい。
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