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【M&A最新動向】運送・物流業界のM&A動向・業界事情は?

近年のインターネット通販の市場拡大やコロナ禍による巣ごもり需要などから、運送・物流業界の需要は右肩上がりで増加を続けています。

物流業を細かく見ると「運送・荷役・流通加工・梱包・保管・情報管理」に分かれますが、大きく分けると「運送業」と「倉庫業」の2種になります。
なお運送・物流業界でも最も事業者数が多く、一般的にイメージされるのが、いわゆる「トラック運送会社」と呼ばれる事業者ではないでしょうか。

運送手段には乗物全般が使われますが、国内での運送に限れば全体の約92%がトラックです。
物流業界の市場規模は年間約24兆円。中でもトラック運送が約14兆円で、物流市場全体の約6割を占めている状況です。
(2019年度 公益社団法人全日本トラック協会調べ)

本記事では、そのような運送・物流業界の市場動向を確認しながら、M&Aの実態を分析します。

運送・物流業界の現状

運送・物流業界の特徴として、以下の2点が以前より指摘されています。

人材不足が深刻化

少子化による労働人口減少が続く日本では、どの業界でも人材不足が叫ばれていますが、その中でも運送・物流業界は特に人材不足が深刻とされる業界の1つ。
運送・物流業界の場合、労働環境の悪さから若年層に人気がなく、応募者数が少ないのがその原因とされています。

国土交通省の資料『トラック運送業界を取り巻く当面する諸課題等について』によると、全職業の有効求人倍率が1.48倍なのに対し、トラック運送業のそれは2.98倍で2倍以上の数値となっています。

また、若年層の就業者が少ないために、運送・物流業界では高齢化も進行してしまっています。同資料によると、30歳以下の就業者割合は全産業平均が16.1%なのに対し運送業は9.4%、40~54歳の全産業平均割合が35.1%なのに対し運送業は45.3%となっており、他の業界と比較しても高年齢化が進んでいることが見受けられます。

過酷な労働環境

運送・物流業界が若年層から人気がない理由が「長時間労働時間」と「低賃金」というところです。
前述の国土交通省の資料によると、運送・物流業界では労働時間が全職業平均より約20%長く、年間賃金は全職業平均より約15%安いことが示されています。

運送・物流業界の労働時間が長いのは、実働時間が他の業種と同程度だったとしても、業界特有の「待機時間の発生」が大きな要因と言えます。
荷主の指定時間まで現場付近で待機したり、物流拠点などの積み卸し場所で荷物が到着するのを待つこともあれば、荷役にかかる時間も生じたりと、その分、労働時間が長くなってしまいます。

また賃金の低さの原因は、運送・物流業界の約9割を占める中小企業のほとんどが下請け、孫請けとして業務を行っており、利益率が低く賃金を上げづらい経営体質になっているためです。

運送・物流業界の近年の市況

【M&A最新動向】運送・物流業界のM&A動向・業界事情は?

公益社団法人全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業 現状と課題2021」によると、2017(平成29)年度の物流業界全体の市場規模は約27兆円、そのうちトラック運送業界の市場規模は約60%をしめる16兆3,571億円でした。

その運送・物流業界の市場で近年、取扱数を増やしているのが宅配便運送です。
これは、EC(Electronic Commerce=電子商取引)市場の急拡大を背景としています。

経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2013(平成25)年では11兆1,660億円だったEC市場は、コロナ禍の巣ごもり需要も手伝って、2020(令和2)年には19兆2,779億円まで拡大しました。

別途、個人間のEC取引も活性化しており、1兆9,586億円の規模がこれに加わります。
EC市場が拡大したことで運送・物流業界の市場も活況にはなりましたが、小口輸送の増加は一層、人材不足を加速させるものです。

運送・物流業界としては労働環境を改善し、人材不足を解消する手立てが重要な課題となるでしょう。

運送・物流業界のM&Aの目的・傾向

昨今、運送・物流業界ではM&Aが盛んですが、買い手と売り手では事情が異なります。
買い手側の主な目的は人材不足解消と3PL(3rd Party Logistics)事業体制構築です。
通常の人材募集では補充しきれないドライバー不足を、他の運送会社を買収することで確保できます。

3PL事業とは、荷主に対して、物流業務全般を包括的に提供するサービスのことです。
倉庫業なども含め現在の社内またはグループ内に足りない部門を、M&Aで獲得して体制を構築します。

対して、売り手の主な目的は事業承継と経営安定化です。
経営者が高齢となった中小企業で後継者不在率が高まっており、その際に廃業を免れるため、M&Aによる第三者への事業承継が行われています。

また、大手企業の傘下となることで経営安定化が期待でき、労働環境の改善も目指せのです。

運送・物流業界のM&A事例

ここでは、2021(令和3)年に実施された、運送・物流業界のM&Aを紹介します。

事例.1 安田倉庫による南信貨物自動車の買収

2021年11月1日、安田倉庫(東京都港区・年商477億円)が、南信貨物自動車(長野県松本市・年商44億円)の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。

安田倉庫は、首都圏と関西圏で物流事業、不動産事業を行っています。
南信貨物自動車は、小口運送中心の一般貨物自動車運送事業を、長野県・山梨県と関東エリア間で行っている企業です。

安田倉庫としては、関東甲信越から中京エリアまでのネットワークを保有する南信貨物自動車をグループ会社化することで、安田倉庫グループとして運送力が拡充し、業績拡大が見込めると判断しました。

事例.2 いすゞライネックスとアイパックの合併

2021年10月1日、いすゞ自動車の100%子会社いすゞライネックス(東京都品川区・年商513億円)が、同じくいすゞ自動車の100%子会社であるアイパック (神奈川県藤沢市・年商124億円)と合併しました。
いすゞライネックスが存続会社、アイパックが消滅会社になります。

いすゞライネックスは、物流元請業、倉庫業、貨物利用運送事業(陸・海・空)など物流事業全般を行っている企業です。
アイパックは、海外生産向け各種自動車部品のKD(Knock Down=半完成品)包装・梱包業務を行ってきました。

いすゞ自動車グループとしては、両社の事業を統合することで、KD梱包事業と物流事業の一層の効率化を図り、資材調達・梱包・出荷物流領域の業績拡大を狙います。

運送・物流業界でM&Aするメリット

運送・物流業界のM&Aで得られるメリットを、買い手側と売り手側に分けて掲示します。

買い手側のメリット

運送・物流会社は、それぞれ人材(ドライバー)、トラック、倉庫、営業拠点、独自の物流ノウハウ・システムなどを所有しています。
それらの経営資源を、M&Aによる買収で一挙に獲得できるのは大きなメリットです。

ドライバーの増員で人材不足が解消され、トラック・倉庫・拠点・ノウハウ・システムの取得で実働率・積載効率が高まり、業績の拡大も見込めます。
また、3PL事業体制が構築できれば、新たな事業領域への進出も可能です。

売り手側のメリット

売り手企業が後継者不在の場合、会社を売却することで買い手が後継者(新たな経営者)となって事業承継が実現し、会社は存続します。
従業員の雇用も守られ、経営者自身は売却対価を得て自由使途の資金を獲得できます。

また、下請け・孫請けだった売り手が大手企業の傘下に入った場合、単に経営が安定化するだけでなく、元請けグループの一員になることで利益率の改善につながります。
そうなれば、ドライバーの労働環境も改善でき、人材不足も解消に期待ができるでしょう。

運送・物流業界でM&Aするデメリット

運送・物流業界のM&Aではデメリットもあります。
買い手・売り手それぞれのデメリットを掲示します。

買い手側のデメリット

M&Aの手法に株式譲渡を用いた場合、売り手企業の権利義務全てを包括承継します。
事業譲渡のように譲渡対象を選別できないため、経営上のリスクである偶発債務などの簿外債務を売り手が抱えていた場合、それも引き継いでしまう危険性があります。

売り手企業に所属するドライバーなどの従業員が、M&Aに対して反発心や不安感を持ったりした場合、離職してしまうケースも考えられるでしょう。
そうなると、人材不足を補う目的が果たせないことになります。

売り手側のデメリット

M&Aを事業譲渡で実施する場合、会社法の規定により、売り手には競業避止義務が課されます。

競業避止義務とは、譲渡した事業と同一の事業を、20年間、同一区市町村および隣接区市町村で行えないことです。
(事業譲渡契約時に買い手から同意を得れば義務を負わずに済む)

また、顧客や取引先がM&Aしたことに不信感を持ったり、売却先に問題を感じたりした場合、契約や取引を解消されるケースも発生しています。
これを避けるためには、事前の関係者への丁寧な説明が不可欠です。

運送・物流業界のM&Aで注意するポイント

【M&A最新動向】運送・物流業界のM&A動向・業界事情は?

運送・物流業界で実際にM&Aを行う際には、以下の3点に注意しましょう。

事業譲渡の書類が多く煩雑

運送・物流業界のM&Aでは、特に事業譲渡の手法で行う場合に注意が必要です。
事業譲渡は、譲渡対象となる事業や資産を選別できる点で大いにメリットがあります。
しかし、株式譲渡のように包括承継ではないため、顧客・取引先との契約やドライバーなどの従業員との雇用契約を引き継げません

顧客・取引先・従業員のそれぞれに対して個別に状況説明し、同意を得たうえで各契約を結び直す必要があるのです。これは担当者にとってかなり煩雑な作業となります。

事業譲渡の場合は改めて認可を受ける必要あり

事業譲渡で引き継げないもう1つが事業の許認可です(運送業の場合は「運送業許可」)。

許認可は、会社に対して官公庁が出すものですから、買い手側が買収した事業に必要な許認可を有していない場合、M&Aが成立しても事業を開始できません。

買い手が運送・物流業界の同業者なら問題は生じませんが、異業種から運送・物流業界に参入する目的の場合、日程を逆算して許認可の手続きを進めておかないと、上記のような事態になります。

認可を受けるための要件に注意

運送業許可は国土交通大臣または地方運輸局長に申請します。
申請時に求められる要件は、主として以下の3点です。

  • 運送事業を運営するうえで必要な資源(トラック、駐車場、営業所)の確保
  • 運行管理者資格所持者、整備管理者(要自動車整備士技能検定合格)、ドライバーの確保
  • 運送事業に必要な資金(会社の運転資金6カ月分以上)の確保

審査基準や提出書類の様式など複雑な点があるため、申請には司法書士など専門家のサポートを受けるのが得策です。

まとめ~運送・物流業界のM&AはM&A Stationにおまかせ~

【M&A最新動向】運送・物流業界のM&A動向・業界事情は?

M&Aは有効な経営戦略ですが、専門的な知識や経験が欠かせません。
異業種からの参入はもちろんのこと、運送・物流業界の同業者間のM&Aの場合でも、総合的なM&Aサポートができる専門業者に相談することが、適切なM&Aの実現に直結します。

M&A Stationでは、豊富な知識や経験を持ったアドバイザーがM&A成功に向けてサポートいたします。
また、運営会社である「税理士法人Bricks&UK」は公的な『認定支援機関』ですので、効率的な資金調達をサポートできますし、事業計画書の無料診断サービスも提供しています。
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