売れる会社と売れない会社はここが違う
2021.4.06
2021.4.06
いざ事業を譲渡し引退を考えても、必ずしも全ての会社がM&Aに適しているわけではありません。
意外に思われるかも知れませんが、どれほどキャッシュ・フローを生み出している会社でも買い手がつかないこともあれば、キャッシュ・フローがほとんど±0、場合によってはマイナスであっても、買い手がつく会社もあります。
このように、買い手が付く会社とつかない会社には、いったいどのような差があるのでしょうか。
どれほど利益を生み出し、キャッシュ・フローが潤沢な会社でも、トップのマンパワーで運営されている、組織として機能していない会社(仕組みのできていない会社)は事業価値の客観的な算出が困難で、場合によっては買い手がつかないことも珍しくありません。
売上が上がる仕組みの多くが、社長や一部の幹部社員の属人的な能力に依存していると判断されるからで、このような場合、そのままでは事業の譲渡は困難です。
社長やキーマンの引退は直ちに会社の存続を危うくするからです。
誰にも頼らず、自分自身の能力と努力で会社を経営してきた社長にとって、その歴史は誇るべきものです。
5年以内に株式会社が倒産する統計上の確率は90%と言われる中で、長年に渡り会社を存続させた経営センスが卓越したものであることは、疑いようがありません。
しかしながら、個人として優秀な経営者の力量で存続してきた会社は、やはり会社としては買い手がつきにくいというのが実情です。
自分の会社が売れる会社なのかを判断するには、1ヶ月くらい社長自らが所在不明になっても日常のルーチンワークが機能するのかどうか。そんな事を想像し試してみるのも、一つの方法かもしれません。
売れる会社と売れない会社を決定的に分けるものは、多くの場合キャッシュ・フローの状況であるといえるでしょう。
特殊なノウハウや特許があるなど、キャッシュ・フローにもB/Sにも現れない特別な価値が有る場合は例外ですが、多くの場合営業キャッシュ・フローがマイナスの会社は買い手がつかない事が多く、買い手がついても、B/S上の純資産よりも低い価値に見積もられることもあります。
言わば「買い叩かれる」と言っても良いでしょう。
債務超過に陥っていても、営業キャッシュ・フローがプラスであればその状況は改善する事が期待でき買い手がつくことは十分にありますが、純資産がプラスであっても現預金の流出が続いている場合、買い手は、事業を承継して当面の間は持ち出しが更にかさむことを覚悟しなければならないからです。
このような場合、円滑な引退にはやや特殊な手段を使う必要があるかもしれません。
一つの方法として、キャッシュ・フローがプラスの事業とマイナスの事業があれば、事業を分社化してプラスの会社を譲渡の対象にし、マイナスの会社は売らずに当面社長自らの手で継続するという方法も考えられます。
しかしながらこの方法は、どのような状況でも無条件にできるという手段ではありませんので、安易に採用することはできません。
慎重の上にも慎重に行動することが重要になるでしょう。
全てが円滑に進む事業の譲渡は0と言って良いと思います。
個別に様々な問題があっても、解決策を探りながら当事者の納得できる落とし所を探るのが取引の基本なのはM&Aでも変わりはありません。
しかしながら、引退を考えるに辺り、売れる会社・売れやすい会社にあらかじめ近づけておく努力をすることはとても重要な事です。
会社の中に、組織として売上が上がる仕組みがあるのかどうか、代表取締役が不在でも、ルーティンワークが機能する状態にできるのかは、会社の譲渡を考えた際に直ちに着手する必要があると言えるでしょう。
そのためには、様々な会社運営の手順を明確にしておく事が大事です。
一例を上げると、業務フローと意思決定の手順を明文化すること、就業規則や賞罰・評価方法を整備すること、権限者不在の場合の意思決定順位を予め決めておくことなどです。
人は責任も権限も与えられなければ、責任感を持って行動するはずがありません。
しかし、わずかに能力を上回る期待値で責任と仕事を任せてみると、普段の姿からは想像もつかない能力を発揮し、与えられた仕事をこなすために必死に頭と体を使いはじめます。
過去を振り返る時、おそらく会社がもっとも成長できた時は、経営者が必死になって新しいことにチャレンジした時や、少し難しそうな仕事にチャレンジした時では無かったでしょうか。
そしてそんな時代こそが、経営者にとって誇らしい思い出でもあるはずです。
この機会に思い切って権限を移譲し「経営者がいなくても仕事が進む仕組み」を構築することを、ぜひお考え下さい。
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