500万円以下でもOK!個人M&Aで起業という選択もあり
2021.11.22
2021.11.22
「M&A」と聞くとこれまでは「大企業が行うもの」というイメージが強かったのではないでしょうか。
近年は、小規模な取引が活発化していることを受けて、個人がM&Aで会社を買収する時代が到来。ゼロから起業するよりも手っ取り早く会社を持つ手段として、個人M&Aによる起業が注目を集めています。
「個人でM&Aなんてできるの?」と疑問もあるかと思いますが、スモールM&A=事業規模の小さな取引であれば比較的低予算で買収が可能であり、個人でも十分手が届く案件も多く取引されています。
本記事では、起業を個人M&Aによって実現する方法や注意点、メリット・デメリットなどを解説します。
Contents
個人でもできるM&A=スモールM&Aには厳密な定義はありません。
したがって、業者によって解釈が異なり曖昧な点もありますが、慣習的におおむね以下のように認識されています。
M&Aの売買額が1,000万円未満の場合は、マイクロM&Aとさらに細分化する場合もあります。
また、IT市場で増えているWebサイトの売買もスモールM&Aに含まれると言えます。
スモールM&Aと呼ばれる小規模なM&A案件が増加しているのはなぜでしょうか?
その背景を考察してみます。
少子高齢化が進む日本では、特に中小企業の経営者の高齢化に年々拍車が掛かっている状況です。
帝国データバンクの「全国社長年齢分析」によると、2020(令和2)年の中小企業経営者の平均年齢は60.1歳となっています。
(上場企業経営者の平均年齢は58.7歳)
同調査によると1990(平成2)年以降、毎年、経営者の平均年齢は上がり続けていますが、また別の調査では中小企業の実に65.1%が後継者不在との結果が出ています。
多くの経営者が抱える後継者不足という深刻な課題の解決策として、事業承継を果たせるM&Aを政府も後押ししており、同様にスモールM&Aのニーズ拡大につながっていると考えられます。
さまざまな業界で後継者不在や人材不足が問題視されていますが、加えてコロナ禍の影響によって経営が困難になる事業者や店舗が増えています。
ただし逆の見方をすれば、廃業・倒産の増加によって売買価格も下がっており、需要と供給が増加傾向にあるのです。
実際、2020年はコロナ禍によりM&A全体の成約件数が一時的には落ち込みましたが、2021年にはまた上昇し出しています。
コロナ禍により進む市場の淘汰・再編も、スモールM&Aの活性化を加速させている背景と言えます。
M&Aは事業承継や事業拡大だけではなく、新規での起業手法として注目されはじめています。
ゼロからの起業に比べてM&Aで買収を行うことで、既に確立されているノウハウや設備、人材を引き継げられます。
業界経験がなくても新たな事業に参入できることや、低額な案件であればサラリーマンや引退後のシニア層など起業したいと考える個人が手を出しやすいことなどから、起業手法として用いられる理由のひとつと言えます。
前述したとおり、個人がスモールM&A(マイクロM&A)を活用し、会社買収によって起業を実現するケースが増えています。
その主な理由として以下の3点が挙げられます。
どのような事業でも、ゼロから事業を立ち上げる場合、設備投資や運転資金など相応の初期費用が発生します。
M&Aで会社や事業を買収した場合、その対価の中に初期費用に該当する金額が含まれることになります。
双方を比較して個人M&Aで会社を買収した方が、ゼロから起業したときと比べ初期費用が割安で済むのは明らかです。
また、金額の差だけでなく、M&Aであれば起業時の各種手続きや許認可取得などの手間を削減することにもつながります。
ゼロからの起業は事業が軌道に乗り、安定した収益を得られるようになるまである程度の期間を要します。
もっと言えば、いつ収益が得られるようになるかも定かではありません。
M&Aであれば、すでに事業は行われ一定の収益を上げている状態の会社を買収することになり、経営が安定するまでの時間を要しませんし、収益化への不安もありません。
また、あらかじめ確立されたブランドイメージを持つ会社を買収すれば、自力で一からブランドを育てる期間やコストを抑えることも可能になります。
会社を取得するということは、その会社が扱うサービスや商品だけでなく、その事業を担う従業員や事業を行ううえでのノウハウも一挙に獲得するということです。
それらは、通常の起業では始めからあるものではありません。
これはM&Aでの会社・事業の買収だからこそ得られる利点です。
ここであらためて通常の起業とM&Aでの会社買収を、それぞれのメリットで比較してみましょう。
特にM&Aとの対比という観点での起業の最大のメリットは、会社運営を基礎から学びながら経験し、会社の成長と自身の成長を重ねながら進んでいける点でしょう。
当然、苦労も伴いますがそれもまた糧となります。
また、すでに事業を行っている会社では既定路線に沿って経営していくしかありませんが、ゼロからの起業であれば、全て自身の意思で自由に展開していくことが可能です。
M&Aで会社を買収した場合、マイクロM&Aの規模であれば、通常の起業よりも低コストで事業を始められることは大きな魅力です。
許認可、商品またはサービス、設備、従業員、ノウハウなどもまとめて承継できますから、準備期間やそれにまつわる手間などなく、瞬時に事業を引き継ぎ運営できます。
通常の起業ではこれはどうやっても不可能です。
デメリットについても、通常の起業とM&Aでの会社買収を比較してみましょう。
通常の起業では、設備投資、商品の仕入れ費用、人材募集コストなど相当の初期費用がかかります。
資金不足で事態が中断するのを避けるため、余裕を持った金額の資金準備が必要です。
そして、開業にこぎつけるには設備の用意、在庫確保、従業員教育などの準備に時間を要します。
さらに、経営が安定するまでには、ある程度の時間を要するため、その間は赤字でも続けられるだけの蓄えが必須になります。そのうえ、失敗するリスクも否定できません。
会社買収を株式譲渡で行った場合、包括承継=会社を丸ごと引き継ぎます。
仮に、虚偽情報や簿外債務などを見落としていると、気づかずに引き継いでしまい、経営上、深刻なダメージを受けるかもしれません。
M&Aに反発した従業員が退職してしまう可能性もあります。
従業員の移籍には本人たちの個別の同意が必要であるため、従業員すべてを引き継げない可能性もあります。
また事業譲渡で個人事業を取得した場合、事業によって許認可の承継ができない場合には許認可の取り直しが必要となります。
2018(平成30)年のベストセラー「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」(講談社)
2020(令和2)年のテレビ番組「ガイアの夜明け第932回『今なら会社買うでしょ!~コロナで急増する個人M&A~』」(テレビ東京)
上記のようにメディアで取り上げられたことも近年のスモールM&A(マイクロM&A)が関心を集めている要因ですが、その背景にあるのが以下の4点ではないでしょうか。
案件にとっては数百万というレベルで取引されるケースもあり、自動車購入するくらいの感覚で個人での売買が可能となっています。
ここでは、マイクロM&Aの中でも、500万円以下で買収できる会社や事業を例示します。
また、会社組織ではなく個人経営・個人事業形態の場合、さらに少額(100万円程度)で買収できる可能性があります。具体的には以下のような事業です。
ちなみに、前述した「ガイアの夜明け」では以下の事例を取り上げています。
個人M&Aでは、以下の3点に留意して臨みましょう。
デューデリジェンスは買収側が費用負担し、財務・法務・税務・労務などについて、士業などそれぞれの専門家を起用して行うものです。
非常に重要な工程ですが、費用だけでなく一定の時間も要するため、小規模なM&Aでは省略してしまうケースも見受けられます。
しかし、経営上のダメージを受ける可能性がある簿外債務などは、デューデリジェンスをしっかりと実施しない限り発見できません。
個人M&Aの場合、企業と違ってM&Aに失敗するとリカバリーは至難の業です。
失敗を避けるためには、徹底したデューデリジェンスは欠かせません。
M&A後、売却側の責任に帰することで問題が生じたり、トラブルが発生したりするのを防ぐ、あるいは対処しやすくするために、M&Aの契約書には「表明保証」条項を必ず設けます。
表明保証とは、売り手が買い手に対し、売り手が明らかにしている情報が真実であることを表明し保証するものです。
この表明保証によって、リスクを低減できます。
M&Aの契約書には、表明保証以外にも重要な内容が記されますから、個人の知識や経験だけで対応するのは極めて困難です。
弁護士など専門的な知見をもつ専門家のチェックは不可欠と言えます。
M&Aの各プロセス・手続きには、専門的な知識や経験が必要です。
取引規模が小さいスモールM&Aであっても、それは変わりません。
したがって、リスクヘッジして安全かつスムーズに個人M&Aを進めるには、M&Aの実績が豊富でノウハウを持っているアドバイザーを起用をおすすめします。
その際には、大規模なM&Aの実績しかないアドバイザーよりも、中小規模のM&A経験が豊富なアドバイザーの方がより確実です。
実際に個人M&Aを行いたい場合、売却案件を探す方法としては現在、以下の3つの方法が考えられます。
現在、インターネット上では多数のM&Aマッチングサイトが運営されています。
登録手数料は無料であり、地域や業種、希望金額などから自由に案件検索できることから、手軽に案件情報を収集する意味合いでも、M&Aマッチングサイトは大いに利用価値があるでしょう。
M&Aマッチングサイトのみで個人M&Aを完結させるなら、M&A仲介会社に依頼するよりも費用は安く済みます。
ただし、交渉や契約書の作成・チェックなどの手続きを、すべて自身で行わなければなりません。
M&Aマッチングサイト運営会社のアドバイザーに業務を依頼することも可能ですが、その場合は別途、費用が必要となります。
個人M&Aの需要が高まったことを受け、小規模のM&Aを扱う仲介会社も増えてきました。
M&Aの仲介を専業とする各社ですから、まさに専門家であり、これ以上、頼りになる存在はいません。
M&A決断前の相談・戦略決めから始まり、M&Aの相手探し、交渉・手続き・各種アドバイスなど、全ての局面でM&A仲介会社は有用です。
相談は無料の会社がほとんどですので、個人M&Aを検討するにあたり一度、話をしてみるとよいでしょう。
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁の委託事業として各都道府県に設置された公共機関です。
各地の中小企業の事業承継がスムーズに進むよう、それをサポートする目的で設置されました。
なお、事業承継・引継ぎ支援センターの独自事業として、「後継者人材バンク」があります。
これは、事業承継による起業を志す人材と、後継者不在の中小企業とをマッチングするサービスです。
通常の起業であれ個人M&Aであれ、十分な自己資金がない場合は資金調達する必要があります。一般的な資金調達方法としては、金融機関からの融資でしょう。
その際に、重要な存在となるのが「事業計画書」です。
この場合の事業計画書とは、単なる数値の収支計画だけでなく、以下のような項目を記載します。
記載された内容によって、融資の判断が左右されることになります。
したがって、内容の推敲には専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。M&A Stationでは、「事業計画書の無料添削相談」をお引き受けしています。ぜひ、ご活用ください。
起業を目指すなら、個人でのM&Aも有効な選択肢です。
その場合、M&Aサポート実績だけでなく、起業サポート実績も有する専門家に依頼するのが最善です。
M&A Stationには、スモールM&Aにも豊富な知識と経験を有するアドバイザーが多数、在籍しています。
Bricks&UKグループには税理士、社会保険労務士、司法書士などが在籍し、グループ全体で起業のサポートも行ってまいりました。
国の認定を受けた認定支援機関であるBricks&UKグループだからこそ、単にM&Aだけでなく、起業資金調達から、起業後の経営コンサル、集客支援などもお手伝いできます。
起業・個人M&Aをご検討されている場合にはお気軽にお問い合わせください。
M&A Stationでは、随時、無料相談をお受けしています。
M&A Stationを運営する「税理士法人Bricks&UK」は、顧問契約数2,100社以上、資金繰りをはじめ経営に関するコンサルティングを得意分野とする総合事務所です。
中小企業庁が認定する公的な支援機関「認定支援機関(経営革新等支援機関)」の税理士法人が、皆様のM&A成功を強力サポートします。
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